「進学準備のお金がない」困窮家庭のため、返済不要の入学給付金を3月に 豊島区のNPOが寄付募る

(2019年12月15日付 東京新聞朝刊)
 来春、高校などへ進学する子のいる生活困窮家庭に返済不要の給付金を提供するため、NPO法人「豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」(豊島区)が寄付を募っている。区と連携して支援情報も届け、その後にもつなげる。
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寄付を呼び掛ける栗林知絵子さん=豊島区で

きっかけは「高校の制服代を払えない」

 取り組みを始めて6年目を迎えた。きっかけは、ある母親の「高校の制服代を払えない」という訴えだった。チャリティーイベントで寄付を募った。2017、18年には通販会社のカタログハウスから計400万円の寄付を受けた。一方で、区と連携し、全ての区立中学の3年生にチラシを配り、生活保護を利用する家庭にも給付金提供の情報を届けた。

 不正を防ぐため、収入などは厳格に審査する。給付時は弁護士同席で相談にのり、子ども食堂や学習支援などの情報も紹介する。同ネットワーク理事長の栗林知絵子さん(53)は「お金の困り事を相談しにくい中、給付金により『つながりをもらった』という声が届いている。さらに今年は、みなで支える機運を醸成したい」と話す。

昨年から、小中学校進学にも対象拡大

 早い時期からつながってほしいと、高校や専門学校だけでなく、昨年から小中学校進学に対象を拡大した。来年は3月の合格発表直後に、公立小中学校入学の計40世帯に各1万円、高校や専門学校進学の40世帯に各4万円を提供する。

 今月末まで、「WAKUWAKU入学応援給付金」の特設サイトや、クラウドファンディングサイト「Good Morning」で、寄付を受け付ける。問い合わせは月、火、木曜の午前10時~午後8時、同ネットワーク=電話090(3519)3745=へ。

国や都の支援は入学の半年以上先…「とても助かった」

 長男と次男が高校に進学した豊島区で暮らす女性(45)は昨春と今春、給付金4万円を受け取った。女性は体調を崩し仕事を辞め、生活保護を利用している。

 長男の私立高校入学金、学校設備費などで約40万円必要だが、光熱費や食費を抑えても全額を工面できずにいた。国や都の支援制度はあるが、入金は入学から半年以上先。そんなとき、ソーシャルワーカーから給付金の存在を聞いた。

 理事長の栗林さんから直接、給付金を手渡された。今春には次男が公立高校に進学し、再び給付金を受け取った。自宅に食材を届けてもらうなどし、悩みも打ち明けられるように。女性は「とても助かったし、何より素直に話せる相手を見つけられた」とほっとした表情で語る。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年12月15日

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