コロナ拡大の中、首都圏の小中学校で始業式 松戸の希望者分散登校、戸惑う保護者 「休むと勉強遅れる」「感染防止優先を」

林容史、山口登史、保母哲、中谷秀樹、三輪喜人 (2020年4月7日付 東京新聞朝刊)
 首都圏で新型コロナウイルスの感染が拡大する中、千葉県や東京都では6日、小中学校の始業式が各地で行われた。森田健作県知事が5日に県立学校の再開延期を発表した影響で、千葉県内の多くの学校は始業式や入学式を行った後、再び休校に入る。
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新型コロナ感染予防のため校庭で行われた足立区立千寿第八小の入学式=6日、東京都足立区で、本社ヘリ「おおづる」から

校庭で間隔空けて始業式「みんなと話せてうれしいけど…」

 千葉県松戸市では市立小中学校65校で始業式が実施された。市立北部小学校(波田寿一校長)では、2~6年生まで多くの児童たちが登校、校庭で、両手を広げた距離を空けて始業式に臨んだ。

 3年の女子児童(8つ)は「みんなと話せてうれしかったけど、また休みで残念」。6年の男子児童(12)は「早く学校が始まってほしいけど、今は仕方ない。サッカーのクラブチームで練習できないのが一番、悲しい」と話した。

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校庭で距離を空けて座って始業式に臨んだ児童たち=松戸市で

 松戸市教育委員会は13日から分散登校を実施する。希望者のみで登校しなくても欠席にはならない。

 しかし、保護者の間には戸惑いが広がる。「子どもは行きたがる。結局、親に判断が委ねられる」「みんなが登校すれば、勉強が遅れるのではと心配になる」などの声が聞かれた。

 同校に3人の子どもが通う30代の母親は「始業式に出席させるかどうか、家族で迷った」と打ち明ける。「学校を通して地域に感染が広がってしまうのが心配。今は感染の拡大を防ぐべきなのでは」と訴えた。

休校延長の東金市 小学生の母親「職場に迷惑かける」

 千葉県東金市では6日の学校再開を予定していたが、県立学校の休校延長を受け、急きょ、今月20日まで休校期間を延長し、6日はグラウンドで始業式だけが開かれた。入学式は8~10日に行われる。

 市立鴇嶺(ときがね)小学校では午前7時半ごろから、マスクを着用した児童らが続々と登校。校舎の入り口には消毒液を設置し、担任らが出迎え、子どもたちは「久しぶりだねー」などと元気の良い声を響かせていた。

 児童に付き添って学校に来た40代の母親は「子どもの安全のために仕方ないが、また休みになると仕事にも迷惑をかける。この先も不安で仕方がない」と話していた。

 一方、市川市教委は6日、市立の小中学校と幼稚園などでの入学式・入園式、始業式を延期すると発表した。政府が緊急事態宣言の準備に入り、感染者が多発している東京都と隣接していることなどを理由に挙げている。延期期間は未定。

 市教委によると、入学式ができないと各種手続きが進まないため、「新年度連絡日」として小学校は8日、中学校、義務教育学校、特別支援学校小学部は9日、幼稚園、特別支援学校中高等部は10日を設定。始業式に代わる「新年度連絡日」も小学校は9、10日、中学校などは8、10日、幼稚園などは8、9日とした。

 浦安市も市立小中学校、幼稚園などの始業式と入学式・入園式を延期する。

千葉県内の自治体、休校の「再延長」も 

 千葉県立学校で休校が延長されたことを受け、県内の各自治体は小中学校などの休校を5月のゴールデンウイーク前後まで延長することを決めたり、検討したりしている。

 多くの市町村は6日に新学期の始業式を開いたが、4月末または5月6日まで再び休校としている。今月12日までの休校延長を発表していた千葉市は6日、休校を5月6日まで再延長した。

 野田市や館山市はそれぞれ12日、19日までの休校を決めていたが「その後のことは再度の休校延長を含めて検討中」。白子町は今週中は学校を開き、近く発令される見込みの政府の緊急事態宣言の内容を踏まえて判断する。

 県北部の自治体の教育委員会の担当者は「新しいクラスや新担任が決まり、児童生徒と信頼関係を築いていかなければいけない時期なのに、この先どうなるのか」と現場を心配した。

 船橋市は休校期間中に週1日の登校日を学年ごとに分散して設け、児童生徒の健康状態の把握や課題学習の提出をする対応策を公表した。

東京・中野区に「令和小学校」が開校 入学式は縮小版で

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開校宣言の後に授与された真新しい校旗(中野区教育委員会提供)

 元号「令和」にちなんだ校名の東京都中野区立令和小学校が6日、開校した。新型コロナウイルスの影響で、初めての始業式や入学式は、規模を縮小して行った。

 令和小学校は、児童数の減少に伴い上高田小と新井小が統合して新設された。昨年4月に発表された新元号を参考に、学校名も令和に決まった。区教委によると、ウイルスの感染防止のため、式典は校庭で開いた。来賓の参列を取りやめるなど参加者を減らし、時間を短くした。初めて流れた校歌も、児童たちは歌わず、黙って耳を澄ました。

 入野貴美子教育長が「みなさんは最初の児童になります。新しい令和小学校の伝統を一つ一つ築き上げていってほしいと思います」とあいさつし、開校を宣言した。

[元記事:東京新聞 TOKYO Web 千葉版 東京版 2020年4月7日]

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