特別支援学校の「eスポーツ部」が茨城県大会に初参加 「他校の生徒と同じ土俵で勝負できる機会」

保坂千裕 (2021年6月21日付 東京新聞朝刊)
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仲間の応援を背にプレーに集中する伊藤航世さん(手前)=水戸市で

 今秋に三重県で開かれる国体の文化プログラムで開催される全国都道府県対抗eスポーツ選手権「eFootboll(イーフットボール)ウイニングイレブン部門」出場を懸けた茨城県大会が20日、水戸市の県開発公社ビルであり、4月にeスポーツ部を創部した市内の水戸特別支援学校高等部の生徒も初参加した。

指先でスポーツの楽しさが味わえる

 同校からは、3年の伊藤航世さん(17)や、今春卒業した長島利樹さん(18)ら6人が参加。これまで10回の全体練習や、寄宿舎での自主練習をして備えた。試合は2人1組で、生徒は高校生の部に、長島さんは顧問の石原康英教諭(39)とオープンの部に出場した。

 創部のきっかけは昨年度、伊藤さんと長島さんが「体を動かさなくても、指先でスポーツの楽しさが味わえる。部活動としてやりたい」と学校に持ちかけた。石原教諭は生徒のコミュニケーション能力を高める手段になればと、創部に尽力した。

全員1回戦負け「得点力を高めたい」

 石原教諭によると、特別支援学校としては茨城県内初のeスポーツ部で、全国的にもまだ少ないという。県のまとめで、同校を含め14校にeスポーツ部がある。

 結果は全員1回戦負け。伊藤さんと黒沢颯汰(そうた)さん(18)のペアは0-3、双子でペアを組んだ内田聖渚(せな)さん(17)と瑠夏さん(17)は2-19で敗れた。黒沢さんは「緊張したが、自分のプレースタイルができ、失点も少なかった。今後、得点力を高めていきたい」と意欲をみせた。

 障がいの有無に関係なく戦える環境に、石原教諭は「他校の生徒と同じ土俵で勝負できる良い機会」と話す。その上で「勝つことだけでなく、社会に出た時のために、他者との接し方も学んでほしい」と期待した。

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