〈中倉彰子さんの子育て日記〉7・将棋で打たれ強く

(2012年6月15日付 東京新聞朝刊)

中倉彰子さんの子育て日記

 最近、末っ子のシンに「ヤダヤダ!」が出始めた。そう、魔の2歳児に突入です。歯磨き、着替えなど、すべてにまず「ヤダ~」が付くので、こちらも頭を使わねば。 

 試したのは、泣きまね作戦。「お着替えをしてくれないなんて、ママ悲しすぎる~」とシクシク。すると、シンは「ん?」と気が付き、「ジャ~ン。着たよ~」。

 私は心の中でニンマリ。もうこうなったら、女優になり切るしかないわ(笑)。

自分は大切な存在

 先日、子育てに関する講演会を聞きに行きました。その中で、子どもが自分のことを大切な存在だと思える「自己肯定感」のお話がありました。

 日本では、自己肯定感が低い子どもが多いとのこと。私も子どもたちに、自己否定につながる言動がなかったか振り返り、大いに反省しました。

「負けました」と言える子に

 ふと、将棋教室に集まる子どものことを考えました。小学生が中心の教室では、負けたくないために、対局を嫌がる子どもが何人かいます。

 将棋は勝ち負けがはっきりしている上に、自ら「負けました」と宣言して終わるゲームなので、自分を否定されたように感じるのかもしれません。子どもたちには、しつこいくらいに「負けは気にしない。たくさん対戦する事の方が大事」と言い聞かせています。

 「負けました」とはっきり言えるようになり、「どこが悪かったかな?」と対局を振り返ることができれば、上達は間違いありません。

 小さな挫折を繰り返す将棋は、子どもが打たれ弱い人間にならないためにも、とても大事な経験のような気がします。

 さて、シンですが、以前は将棋の駒を見つけるとポイポイ投げていましたが、最近は大人のまねをしてそ~っと取り、駒台に動かして満足そう。対局している気分になっているようです。

子ども語録

 お姉ちゃんが料理を手伝うのを見て、シンも「おてちだい、する~」。仕方がないので、トマトを一緒に洗おうとすると、「ママ、ない(あっち行って)!」。

 しばらくして、トマトの汁がプシュッとはねた。「あれ?」と思って見ると、シンがトマトをかじっている。「食べたらお手伝いじゃないよ~」 (プロ棋士)

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