タブレット授業、まだまだ手探り 「ツールの1つ」 紙にするか児童が選ぶ授業も

(2021年7月24日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる

 新型コロナウイルスの影響もあって教育現場でのIT技術活用が進む中、鎌倉市では昨年度に全ての市立小中学校にタブレット端末が配備され、今年4月から本格的に運用が始まった。腰越小学校3年生の理科の授業では、植物の観察で児童がタブレットで撮影したりメモを取ったり。一方で紙に鉛筆でスケッチする子もおり、担当教諭は「それぞれが使いやすい手段を選べることが大事」と話した。

写真タブレット端末でホウセンカの写真を撮ったり、紙に鉛筆でスケッチしたりする児童ら=鎌倉市立腰越小学校で

植物観察 タブレット入力でも、紙と鉛筆でも

 6月下旬、学校敷地内にある花壇で、子どもたちがヒマワリとホウセンカにタブレットを向けて写真を撮ったり、気付いたことを入力したりしていた。「撮って終わりじゃなく、よく観察してね」と坂本拓生(たくみ)(29)教諭。指でタブレットに文字入力していた男の子は「(自分の字より)上手な気がする」。タブレットに声を吹き込んで入力している子もいた。
 
 一方で「絵を自分で描くほうがいい」と黙々と鉛筆を動かす女の子も。授業ではタブレットか紙か選択でき、鉛筆で書いたほうが速いなどの理由で、児童の半数ほどが紙を選んだ。紙で書いたものも撮影してデジタル化し、電子黒板上でほかの児童の提出物と並べて見比べたりするという。
 
 「鉛筆や消しゴムと同じ。タブレットはツールの一つ」と坂本教諭は話す。「字を書くことや絵が苦手で時間がかかると、肝心の観察ができないこともある。ツールに頼ることも大事だと思う」。授業では15分に1度「30秒、遠くを見よう」と声を掛けるなど健康面にも気を付けつつ、各学年に合った「学習を深めるツール」の活用方法を模索している。
 
写真
観察の前に教室で黒板や電子黒板を使って説明する坂本教諭

自宅持ち帰り検討、入力トラブル 現場は手探り

 タブレットの自宅への持ち帰りは、破損や使い過ぎなどを不安に感じる保護者もいることから、検討中という。杉並伸也校長(59)は「体への影響がまだ分からない部分もあり、慎重に考えている」と話す。
 
 市教委は新型コロナのまん延を受け、2023年度までかかる予定だったタブレット配備を前倒して昨年度に完了。本年度に全ての学校で活用が始まり、児童の習熟度に応じて問題を出題する教材ソフト「AIドリル」などを導入する。
 
 別の市立小の40代教諭は、タブレットで子どもの意欲が高まると感じるものの「市教委から矢継ぎ早にアプリなどが下りてきて、現場は手探りで大変」と明かす。入力がうまくいかないなどトラブルも起きるため「コロナ対応や日々の授業もあり、多忙な中でやらなければいけない。現場の教員の声を聞いて、慎重に進めてほしい」と話した。
 

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