パパの悩み、知ってますか? 「妻には言えない」孤独、仕事との両立… PtoCイベントで共有

 男性の育児を応援する機運が高まる中、日々の子育ての悩みなどをとことん語り合ってもらおうというイベントが4日、東京ミッドタウン日比谷(千代田区)で開かれました。子連れOKのにぎやかな会場では、パパ同士が語り合う姿があちこちに。主催者は「パパたちにも等身大の悩みを話せる場が大切」と意義を語っています。
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「Papa to Childen」主催 117人のパパが集結

 イベント名は「ダディバーシティフェス2019~パパ100人と考える 家庭から社会を明るくするには~」。主催した一般社団法人「Papa to Children(PtoC)」は、子育て中の男性8人が理事を務め、2カ月に1度、親子で参加できる座談会を開催したり、育児情報を交換するフェイスブック上のコミュニティを運営したりしている。今回のフェスには、首都圏から117人のパパが集結。ママや子ども、学生など約150人も参加した。

 「掃除や洗濯を頑張って『喜んでもらえるかな』と思っていたら、妻は『私は料理が苦手なので料理をしてほしいのに…』と不満をためていた。話し合うことは大事だなと思いました」

 イベントの目玉であるトークセッション。「夫婦の家事分担」をテーマに語り合ったグループでは、“失敗談”を語った人に周囲がうなずきながら共感。一方、「妻とタスク(作業)を洗い出し『見える化』しています!」と、役割分担などを書いた付箋がびっちりはられたノートを持ってきた人もいて、感嘆の声が上がった。

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 1歳の子がいる医師の男性は「出産直後に仕事を休み、妻と一緒に赤ちゃんの世話ができたことは良かった。1週間でも遅かったら、妻から指示を受けないと動けない父親になっていたかも」と語った。

「パパ友をつくりたいけど、どうすればいいのか」

 「地域とのかかわり」のグループでは、ある参加者が「『1時間おきに夜泣きがあり、眠れなくてつらい』という悩みは、妻にも職場でも言いづらい」とぽつり。「ママ友と同じようにパパ友をつくりたいけど、どうすればいいのか…」と切羽詰まった様子の男性も目立ち、「子育て中のパパの孤独」も垣間見えた。

 実感のこもった声が多かったのは「仕事との両立」のグループ。「育休を取っても、休みが終わると再び仕事漬けになり、女性だけが育児と仕事を背負うのでは意味がない」「仕事でも成果を出したいし、家庭も大事にしたい」「残業できないというだけで『できないやつ』とみられる」など意見が続出。育児がしやすい環境を求め、自分が転職したり、妻が働き方を変えたりした体験談も出された。3歳の子がいる教員の男性は「今の仕事を頑張るしかないので転職は考えられないが、時々は今日みたいに第三者に育児について意見を聞きたい」と話していた。

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夫婦で働きたいのに「制度やサービスが足りない」

 参加者たちが感じたことは? 品川区の西村洋(ひろし)さん(31)は長男(1)と参加した。フルタイムで働く妻は第2子を妊娠中だが、自身は秋に新しい職場への転職が決まっている。「連日終電まで働くことになるかもしれないが、週末は妻の自由時間をしっかりつくれるように頑張りたい」と宣言した。ただ、参加者と情報交換する中で、自分たちのように互いにガッツリ働きたい夫婦にとって「仕事と家庭を本当に両立できるような制度やサービスはまだまだ足りない。方策を考えていかなくては」と感じたという。

 三鷹市の会社員小宮山和弘さん(31)は、長男(4)と次男(2)の保育園の送迎がしやすいよう、都心から地元の職場への転職を控えている。「普段から子育てを通じて感じたことをSNSなどに書いているが、今日は実際に多くの人と話し合えて新鮮だった」と満足げだった。一緒に参加した妻の陽香さん(30)は「出産後、やりたい仕事をあきらめる女性は本当に多い。親が転職をしないと子育てができない世の中はおかしい」と訴えた。

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男性はかっこつけやすい。等身大の悩みを話そう

 PtoC代表理事で、会社経営の川元浩嗣(ひろし)さんは「私自身、もともとはダメな父親で、妻が産後うつだった時期もあった」と話す。「ぱっと見は私たち主催者も参加者も、育児や家事を完璧にしている男性たち、と思われるかもしれないが、みんな失敗や後悔があるからこそ、参加してくれたのだと思う」と振り返った。

 フェスでは参加者同士が徐々に打ち解け合い、「LINEを交換しましょう!」と今後の交流につなげようとする姿もあった。同じく代表理事で、マーケティングや飲食を扱う会社を経営する柴田雄平さんは「私も初めてできたパパ友の川元さんがいたことで救われた。自分もそうだが、男性はかっこをつけやすい。等身大の悩みを話せる場が大切だ」と話していた。

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