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「ボイメン」 田村侑久さん 本当は怖かった「タムタムのお父さん」

長田真由美 (2019年11月3日付 東京新聞朝刊)

家族のこと話そう

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テストが平均以下だとバリカンで丸刈り

 漫画やアニメにちゃぶ台をひっくり返す父親って出てくるじゃないですか。昨年還暦を迎えたうちの父がそれ。会社員で、実際にちゃぶ台をひっくり返しはしませんでしたが、怒ると「だれに育ててもらっていると思っているんだ」って。怖かったですね。

 特に「勉強しろ」と厳しく言われ、中学の夏休みは1日中、机に向かっていました。テストの点数が平均以下だとバリカンで丸刈りに。今思うと、とても許されないですけどね。4人きょうだいの末っ子の僕は成績がずばぬけて悪く、中学まで丸刈りでした。

 父は昆虫が大好きで、カブトムシやクワガタを捕りに連れて行ってもくれました。夕食は家族全員でそろってから。手を合わせ「いただきます」をして食べていました。

就職したが、ボイメン舞台を見て号泣し…

 高校を卒業してサラリーマンになり、寮暮らしに。地元の優良企業で、父は本当に喜んでくれました。でも、研修が始まると、「このままで人生やりきったと思えるか」と考えるようになった。そんな時、芸能界が思い浮かんだ。子どもの頃から人前に出るのが好きだったんです。

 ただ、挑戦することもできないまま、入社して3年ほどたち、偶然、名古屋でボイメンのミュージカルを見ました。歌も演技もへたなのに、気が付くと、号泣していた。同じ世代が全力で頑張っている。俺は逃げてたって。翌日、会社を辞めました。

 母や兄、姉には話しましたが、父には言えませんでした。怒られたら芸能界への気持ちもなえるかも。だから、成功して堂々と言えるまで黙っていようと。ボイメンに入ってからは下積み続き。100人ほどいたメンバーはどんどんやめていく。でも、絶対にあきらめないと思いました。

コンサートの前、ついに父に転身を告白

 父に打ち明けたのは、2015年の日本ガイシホール(名古屋市)でのコンサート前。レストランに呼び、4年ぶりに会いました。父の大好きなドラゴンズの応援歌を歌うことが決まったこと、自分で生きていく経済力がついたことを話すと、父は「頑張れ。幸せな家庭をつくってほしい」と言ってくれた。うれしかったですね。

 ボイメンで活動するようになり、父があんなに「勉強しろ」と言った理由も分かった気がします。目標に向けて努力をすることが大事なんだと。父が1日1箱は吸うヘビースモーカーなことも社会人になって知りました。子どもの前では決して吸わなかった。

 コンサートにはよく来てくれます。ファンの女性にも顔が知られていて、会場で「タムタム(田村さんの愛称)のお父さん」とちやほやされ、まんざらでもない様子。恥ずかしくて「もう来なくてもいい」と言っているのですが。

たむら・ゆきひさ

 1990年、愛知県東浦町生まれ。2011年、東海地方出身・在住者でつくり、名古屋を中心に活動するアイドルグループ「BOYS AND MEN(ボーイズ・アンド・メン=ボイメン)」に加入。テーマカラーは青。ボイメンとして16年に日本レコード大賞新人賞。19年1月にナゴヤドームでライブを開催。20年にアリーナツアー開催が決まっている。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年11月3日