子どもがスマホでだらだら動画…生活リズム整えるには? 専門家に聞いてみた 鍵は「親も一緒にやる」

海老名徳馬 (2022年9月9日付 東京新聞朝刊)

アプリの使用時間が表示されるスマートフォンの機能

 新しい学期を迎えて生活リズムを整えたい子どもにとって、スマートフォンやインターネットの使い方は切実な問題だ。自由な時間の多い夏休みには使う時間が増えがち。デジタル機器と適切な距離を取る大切さや上手な付き合い方を専門家に聞いた。

禁止や制限より「どう賢く利用するか」

 内閣府が10~17歳の5000人に聞いた昨年度の調査では、1日の平均インターネット利用時間は4時間24分。前年からほぼ1時間増えた。親には気になる数字だが、調査に携わった兵庫県立大の竹内和雄准教授(57)は「以前のように、長時間の利用イコールだめ、ではなくなってきている」と指摘する。

 文部科学省のGIGAスクール構想で、小中学生には1人1台の端末配備が進むなど、ネットは勉強にも活用される。デジタル機器を利用する場面が広がり、竹内さんは「子どものネット利用対策は、禁止や制限ばかりだったこれまでと違い、どう賢く利活用するかという方向へかじを切っている」と説明する。

機器やアプリ別に利用時間をチェック

 大切なのは時間の長さよりも、何に使っているか。目的のある使い方ならいいが「気がついたら動画を続けて見てしまったというのはまずいし、そうなっている子が非常に多い」。使い方を見直すために、竹内さんはどんな機器やアプリをどれだけ使っているか調べて書きだすことを勧める。

 スマホにアプリごとの利用時間を表示する機能があれば活用したい。傾向が分かれば親子で対策を話し合いやすい。例えば動画を多く見ている場合。「推しの配信は絶対に見たい」のならば、制限しようとしても子どもは反発する。竹内さんは「楽しいのは尊重するけれど、関連動画をだらだら見るのはよくない、と言えば子どもも納得する」と話す。

 夏休みに利用時間が増えたり、遅くまで使っていたりする場合も、すぐに時間を減らすのは難しい。例えば「来年は中3だから、受験生になったらスマホは夜8時までにしよう」などと将来的に時間をコントロールできるよう提案するといい。子どもの希望が10時までなら「じゃあ9時まで」と妥協することで子どもにも満足感が残る。厳しめの条件を提示するとルールがまとまりやすいという。

家族でルールを 例「夜は箱にしまう」

 とはいえ、使い過ぎは心身の健康を損なう可能性がある。デジタル機器と一定の距離を置く「デジタルデトックス」に親子で取り組むのも一手だ。一般社団法人日本デジタルデトックス協会理事の森下彰大さん(30)は「親も一緒にやるのが鍵。お互いに使わない時間を設けることで家族の親密度が深まる」と呼びかける。

 まずは守れる範囲でルールを一つ決めてみる。森下さんのお勧めは、夜の決まった時間にスマホを箱などにしまうこと。目に入る場所に置くとつい触りたくなるが、決められた場所にしまえば手に取りづらい。

 デジタル機器を持ち込まない場所を決めるのも方法の一つ。森下さんは、休息を取る場所である寝室や食卓、トイレを候補に挙げる。「お父さんは夕食の後にニュースをだらだら見てしまう」など、親が自分の悪い点を打ち明けるのもいいという。

 子どもを非難するだけでなく同じ立場に立ってみせれば、使い方をともに考える姿勢につながる。森下さんは「デジタル機器との距離感や使い方のバランスを考えるきっかけとして試してみてほしい」と話す。

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