【2022年度版】保活の進め方 保育園見学のポイントは? 保育士の声、掲示物、コロナ対応…小規模園なら3歳以降の進路も

藤原啓嗣 (2022年9月30日付 東京新聞朝刊)
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軍水保育園の保育士の説明を長男と聞く女性(右)。名古屋市は10月から申し込みの書類を配る=名古屋市で

 来年4月の入園を目指す保育園選びの活動「保活」が始まっている。新型コロナウイルスの流行を受け、手続きにインターネットを活用する自治体も出てくる中、どのように保育園を選び申し込めばいいか戸惑う人はいるかもしれない。専門家にポイントを聞いた。

人数を絞り、感染対策しつつ見学会

 「子どものやってみたいという気持ちを育てる保育を目指しています」。9月上旬、名古屋市瑞穂区の市立軍水保育園。入園希望者向けの見学会には、保護者4人が参加していた。

 同園では2年前から、コロナの影響で1日の見学者数を10組以内に絞り、時間を30分に縮めている。野村悦子園長(58)は「保育園のことを知らない人も多い。普段の様子を見てほしいので、感染対策しながら見学を受け入れている」と話す。

 9カ月の子どもの預け先を探す同市天白区の女性会社員(38)にとって、この日の見学会は5カ所目。「園児があいさつしているかとか、ありのままの姿を見て、自分たちに合った保育園を見つけたい」と語った。

都市部は申し込み増 「隠れ待機」も

 8月末に発表された今春の全国の待機児童数は、コロナによる預け控えや少子化で、前年の半数ほどの2944人。5年前の約1割に減ったが、名古屋市での利用申し込みは前年から425人増。市の担当者は「この状況はしばらく変わらないだろう」と話す。都市部を中心に保活は欠かせない。

 東京都でも今春の待機児童は300人にとどまったが、利用の申し込みは32万人以上で就学前児童全体の53.8%に上り、希望の園に入れない「隠れ待機児童」は依然いる。また、受け皿は増えた一方、園庭がなかったり、保育士が不足気味だったりする園もあり、「保育の質」を確認することも必要だ。

 入園申し込みにも変化が出ている。外出や接触の機会を減らすため、名古屋市や都内の区など、オンラインでの入園申し込みを始めている自治体もある。

まず自治体の申し込みルールを確認

 では今、保活をどう進めていけばいいのか。保育に詳しい金城学院大人間科学部の日比野直子准教授(55)が勧めるのは、自治体のホームページなどで申し込みのルールを確認し、自宅から近い、通勤に便利、保育方針が合うなどの観点から複数の園をリストアップし、見学を申し込むことだ。

 今年は事前に申し込めば、見学可能な園が増え、徐々にコロナ前の状況に戻ってきているという。「ミスマッチを防ぐために見学はしてほしい。自分の子どもの将来像を知るために年長クラスの様子を見るのもいい」。ゼロ~2歳児を預かる小規模保育園では、3歳以降はどの園へ進むことが多いかなどを尋ねておくといいという。

掲示物から園の教育方針が見える

 3人の子どもが保育園に通った子育てアドバイザー高祖常子(ときこ)さん(62)は「保育士同士が互いに声掛けして関係性が良いかや、掲示物も見て」と促す。保育士同士の連携が密だと、さまざまなミスが防ぎやすい。園児の絵や活動を知らせる掲示物からは、園の保育方針などを理解しやすいという。安全面では、乳幼児突然死症候群(SIDS)の防止策の確認も重要だ。「園への道順や駐車場、駐輪場など実際に通うことを想定し、自分の体力とも相談して考えて」とも。

 園内でコロナ感染者が広がった時の施設の対応も聞きたい。保育園に預けられない場合の対策を立てやすくなる。日比野さんは「感染がどれくらい広がるとクラスが休みになるかなどを尋ねてみては。気になる点はどんどん質問して。保育士の回答が納得できるかも重要」と助言した。

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