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「潜在保育士」が求めるのは給与アップだけじゃない 重視する条件とは?

 保育施設が急増する中、保育士不足が深刻です。保育士資格を持っているのに働いていない「潜在保育士」は76万人に上るとの推計もあり、国や自治体もこうした人たちに保育現場に戻ってもらおうと給与アップなどに取り組んでいます。そんな中、野村総合研究所が今月、保育士として働くことを希望する潜在保育士の6割以上が、「金銭的報酬の高さ」以外の条件を重視している、との調査結果を発表。多くの人が「勤務時間や勤務日など希望に合った働き方で働き始められること」を最重視していることが分かりました。

野村総研が女性7210人を調査 67.1%が「潜在」だった

 調査は、野村総合研究所が今年7~8月、全国の保育士資格を持つ20~59歳の女性7210人を対象にインターネットで実施しました。

 調査の結果、現在保育士として働いている人は全体の32.9%にとどまり、67.1%が保育士資格を持ちながら、保育士として働いていない「潜在保育士」でした。このうち半数以上の2713人は、他の仕事も含め働いていませんでしたが、60.5%の人が「今後保育士として働いてみたい」と答えました。このうち12.5%は「条件が合えば今すぐにでも保育士として働きたい」と回答しています。

◇保育士経験のある潜在保育士が保育士を辞めた理由(複数回答)

①家庭生活や出産・育児との両立が難しかった 36.4%
②給料が安かった 32.9%
③勤務時間(残業含む)が長かった 27.3%
④職場の人間関係が難しかった 26.7%
⑤事務業務(指導計画や保育日誌の作成など)が負担だった 20.3%
⑥その他(結婚、妊娠・出産、配偶者の転勤など) 20.0%
⑦責任の重さ・事故への不安が大きかった 16.8%
⑧勤務日・勤務時間が不規則だった 16.2%

求めているのは柔軟な環境「短い時間から働けること」

 「保育士として働いてみたい」と答え、現在は仕事をしていない潜在保育士1000人に追加調査したところ、保育士として働く際に「金銭的報酬が高いこと」以外を最も重視する、と答えた人が64.9%いました。このうち半数以上は「勤務時間や勤務日など希望に合った柔軟な働き方」を最も重視しており、具体的な希望は「1日あたり短い時間から働けること」「土日祝日が完全に休みであること」「休暇が取りやすい環境であること」などでした。

◇保育士として働き始めることを考える上で魅力的な就労環境(複数回答)

①短時間(1日3~4時間程度など)から働ける 75.1%
②平日のみ開園(土日祝日は完全に休み) 61.9%
③少人数の保育園で、子ども1人1人にゆっくり向き合える 60.2%
④早朝保育・夜間保育がない 37.7%
⑤新規開所で、スタッフの人間関係が新しい 31.3%
⑥自分の子どもも預けることができる 29.5%
⑦低年齢児(2歳までなど)のみ 27.3%
⑧駅から近く、通勤に便利 26.3%

「短時間勤務保育士」をもっと増やせないか?

 野村総合研究所の担当者は「これまでの調査では、金銭的な報酬が高いことを重視する人が多く、国や自治体も補助や手当を設けてきたが、働き方の多様性を求める声も多いことが分かった」と調査の意義を分析。「希望する働き方で働き始められるなら保育士として働いてみたい」など多様な働き方を求める声が多いことから、短時間だけ保育に入る「短時間勤務保育士」をもっと増やすことなどを提案しています。「短時間働く保育士などが増えれば、勤務管理が大変になるため、保育所運営費にこの管理コストを加味した割り増しの加算などを適用してはどうか」と具体案も提起しています。

 一方、短時間勤務の保育士が入れ替わることで子どもたちの生活への影響を懸念する声に対しては、「増えた運営費で保育士の配置を増やせれば、今働いている保育士の就労環境も改善でき、保育態勢を手厚くすることができるのではないか」と説明しています。