女優 松本穂香さん 「好きなこと頑張って」支えてくれた母、大切にしなくちゃ

五十住和樹 (2018年10月14日付 東京新聞朝刊)

家族のこと話そう

家族との関わりについて話す松本穂香さん(中西祥子撮影)

 高校時代は演劇部。女優を目指している子が周りにいて刺激を受けました。また、当時母と一緒に見ていたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」の一人一人のキャラクターがいとおしく、女優という仕事、楽しそうだなって思っていました。

 母は、私が普通に大学に行くものだと考えていたと思います。でも、家族はみんな、女優を目指すことに反対せず、あなたがやることを応援するよっていうスタンス。両親は、私が子どものころから「好きなことをして頑張って」という気持ちでいてくれました。女優になろうとする私を、見守ってくれていました。

「落ちたって当たり前」母の励ましに感謝

 高校3年の時、もう何回か分からないほど映画やドラマなどのオーディションを受けました。新幹線で大阪から東京に一人で行って。落ちると、母は「また次があるよ」「落ちたって当たり前だ、くらいの気持ちで」と励ましてくれました。すごく落ち込んで泣いた時には「早く帰っておいで」って。卒業前に今の事務所に入れました。

 今、東京で母と2人で暮らしています。母は思いやりがあって心配性。ドラマの撮影に入る時など心配してくれているのをすごく感じます。でも、それを私に伝えると不安にさせると思ってか、あまり言いません。野菜中心のおかずをつくって、体調を気遣ってくれます。

ドラマ主役でプレッシャー 「応援してる」に助けられ

 TBS系の連続ドラマ「この世界の片隅に」の主役を頂きました。原作が素晴らしいのでプレッシャーを感じ、自分が不安定になったりして母にたくさん迷惑を掛けました。母はやっぱり言葉や態度で支えてくれました。「応援しているよ」というシンプルな言葉がとてもうれしかった。母はいつも一番に私のことを考えてくれる存在。大切にしなくちゃって思います。

 父や8歳上の兄は、LINE(ライン)でドラマの感想などを送ってくれます。「この世界の片隅に」は戦時中の話で難しい描写もあったのですが、「頑張ってよかったね」と言ってもらいました。80代の祖母ともたまに電話をし合います。やっぱり家族は応援してくれて、支えてくれて、何よりだなと。

 支え合っている家族が理想ですが、家族にはそれぞれの形があっていい。私も結婚して母になったら、私が「自分の好きなことを頑張れ」と言われたように、子どもにも好きなことをさせたい。でも、私の父や母がつくってきた家族の色とは違うものになるかも。私が結婚するお相手によっても違うと思いますしね。 

まつもと・ほのか 

1997年、堺市生まれ。NHK連続テレビ小説など多数のテレビ、映画、CMに出演。TBS系のドラマ「この世界の片隅に」で主演に抜てきされた。出演した映画「あの頃、君を追いかけた」が全国で上映中。

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