東京すくすく

東京新聞 TOKYO Web
発達・健康
夫婦関係・祖父母
仕事との両立
孤独・孤立
ひとり親
保活
親子関係
おでかけ
スマホ・ネット・SNS
学習・受験
いじめ
~0歳
1~2歳
3~5歳
6~9歳
10歳以上
妊娠・出産
保育園・幼稚園
働き方
教育・学校
くらし
支援
病気・事故
家族

世界の子どもたち 冬に夢中になっている遊びは? 

  (2019年1月19日付 東京新聞朝刊)
寒さが厳しい。仲間や家族と楽しく遊ぶと、体も心も温まる。国に古くから伝わる対戦型ゲームに興じたり、広大な屋内施設で思い切り汗を流したり。世界ではやる冬の遊びとは。

【エジプト】砂漠の国でスキー!?

雪上を駆ける子どもたち=カイロ近郊で

  砂漠の国にだって雪はある。2017年3月、エジプトの首都カイロ近郊に開業したアフリカ大陸初の屋内スノーパーク「スキー・エジプト」。雪を見るのも触れるのも、ほとんどの人が初体験。冬の最高気温が20度近いカイロで、屋内は氷点下6度。そんな寒さを吹き飛ばす歓声があふれる。

 「とても興奮しているから、寒く感じないわ」。長女ナディンちゃん(5つ)と雪遊びに興じる母親のナダ・アフマドさん(29)が白い息を吐く。地元紙によると、エジプトでは13年に100年以上ぶりに降雪が確認されたことはあるが、スキーなどの雪遊びは無縁だ。スノーパークは全長210メートルのスキー場部分と、滑り台が楽しめる雪遊びエリアに分かれる。

真剣な表情でスキーを体験する参加者ら=カイロ近郊で

 スキー初心者は必ずレッスンを受ける必要があり、レンタル代と入場料セットで450ポンド(約2700円)。エジプトの庶民には、やや高根の花だ。ムハンマド・ハニさん(27)は婚約者メルハンさん(24)の誕生日に来場し、初めてのスキーに四苦八苦。「これは冒険だよ」。直滑降から止まれず転んでも楽しそうだ。

 この施設は、アラブ首長国連邦(UAE)の企業が運営する巨大ショッピングモールの目玉としてオープンした。05年に誕生したUAEドバイの屋内スキー場に次ぐ2カ所目で、毎月約2000人がスキー教室に参加。学校の遠足としても利用される。1日5回のペンギンショーも人気だ。

 スキーを教えるのはエジプト人のインストラクター。ドバイで訓練を受けたほか、スイス人コーチを招き、5カ月間特訓したという。ムスタファ・ジャドさん(30)は「私たちも生徒と一緒。新しいスポーツに挑戦したかった。スキー技術よりも、楽しむのが一番。いつまでも残る思い出をつくってあげたい」と話した。(カイロ・奥田哲平、写真も)

【韓国】禁じられた遊び「ユンノリ」継承を

「ケだ!」。韓国南東部・全羅北道完州(チョルラプクトワンジュ)郡で昨年末に開かれたイベントの伝統遊びコーナー。棒状の巨大な「ユッ」を子どもたちが投げ、出た目を叫んだ。

大きなユッを投げて遊ぶ家族ら=韓国の全羅北道完州郡で

 ユンノリは、韓国では連休となる旧正月(2019年は2月5日)に親戚らが集まった際などに始まる遊びで二手に分かれて対戦する。4本のユッの裏表の数に応じ、盤上のマル(駒)を動かす。表が1本だとト(豚)で一マス、2本ならケ(犬)で二マス進める。

 4個のマル全てを早くゴールさせたほうが勝ち。マルを合体させるなど戦略が必要で、子どもも大人も楽しめる。来場していた女子中学生は「遊び方は祖父に習った。皆で一緒にやれるのが面白い」と話した。

棒状のユッを投げてマル(駒)を進めて遊ぶユンノリのゲームセット=韓国国立中央博物館提供

 国立民俗博物館の鄭然鶴(チョンヨナク)学芸研究官によると、ユンノリは三国時代(紀元前1~紀元後7世紀)には存在した。マスは星座を表し、ユッの出た目などで運勢や豊凶を占うこともあり「農耕文化が基盤となっている」。遊び方はほとんど変わらないが、近代になって1マス後退のルールができるなど時代に合わせた変化もある。

 ユッは雑木で簡単に手作りでき、地面にマスを書けば野外でも遊べる。個人戦、団体戦が可能で賭博の要素も。完州郡でのイベントを共催した伝統文化コンテンツ研究所の金昭泳(キムソヨン)代表は「夢中になって農作業がおろそかにならないよう、李氏朝鮮時代までは農閑期の冬以外、禁じられていた」と笑う。

金弘道「檀園風俗図帖」(18世紀後半)に描かれたユンノリに興じる人々=韓国国立中央博物館提供

  一人っ子が増え、家で遊ぶ機会が減った現在、ユンノリは学校での遊びに。伝統遊びの教科書の監修もしている金代表は「2人以上で遊ぶのが『ノリ』。共同体の文化と歴史、物語があるユンノリを後代に引き継ぎたい」と使命感を語った。(ソウル・境田未緒、写真も)

【ドイツ】寒さ知らず!屋内で汗流そう

 ベルリンには、遊具を備えた公立の遊び場が約1850カ所もある。ほとんどは公園の中にあり、緑地なども含めた総面積は330ヘクタール。東京ドーム約70個分という広大さだ。「子どもの遊び場法」と呼ばれる法令で設置要件などが定められている。

 「もちろん外の公園にも行くけど、今の時季は1時間もいたら冷え性になってしまう」と話すのは、4歳の娘がいる母親のザンドラ・ランガーさん(38)。ベルリンの1月は平均気温0.5度前後、月の約10日は雨が降る。「子どもは風の子」とはいえ、見守る親はそうはいかない。

 冬場に人気なのが屋内の遊び場。地元紙にベストテンが特集されるほど充実しているのだ。

屋内遊び場でトランポリンを楽しむ子どもたち=いずれもベルリン西部で

 ベルリン西部のショッピングモールの一角にある「バンブー・ランド」では、Tシャツ姿の子どもたちが元気に走り回っていた。体育館ほどの建物の中に、トランポリンやエアホッケー、高さ10メートル以上ある巨大立体迷路など遊具がいっぱい。かつては駐留米軍の倉庫だったという。

 オーナーのマークス・シュワルツさん(31)は「冬は外で遊ぶ機会が少なくなる。親子が一緒に体を動かせる場をつくりたかった。『みんなで遊ぼう』がコンセプトだ」。子どもは1日9ユーロ(約1120円)とやや高めだが、大人は3.5ユーロ。週末には600~800人の親子が訪れるという。フードコートもあり、子どもの誕生日会での利用もある。

幼児用の遊具に乗っておどけるマッツ・フェケル君(左)

 「一番好きなのはトランポリンかな」とマッツ・フェケル君(12)。父親のロバートさん(51)は「幅広い年齢の子どもが楽しめるよう安全対策がしっかりしている。子どもの体力づくりにも役立つし、何より親子一緒に遊べるのがいいね」と息を弾ませていた。(ベルリン・近藤晶、写真も)

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年1月19日