「子ども会」衰退に待った! 30代の草加市職員「居場所守りたい」

近藤統義 (2019年11月7日付 東京新聞朝刊)
 全国的に衰退する「子ども会」の活性化に、埼玉県草加市職員の安高昌輝(やすたかまさき)さん(31)が熱意を燃やしている。子ども会がなくなった地域のために「草加市子ども会」を18歳で立ち上げ、昨年は9年ぶりに会長に復帰。運営の担い手育成に力を入れ、子どもたちの遊びや交流の場を支えようとボランティアで奔走している。

草子連が開いた防災体験会で、消火器を操作する子どもたち=10月19日、草加市で(安高昌輝さん提供)

全国の加入者、1985年660万人→昨年238万人

 全国子ども会連合会によると、子ども会の加入者は1985年の660万人をピークに落ち込み、昨年は238万人にまで減少。草加市内の子ども会を束ねる「市子ども会育成者連絡協議会」(草子連)の加盟団体も30年前は80以上あったが、現在は6団体しか残っていない。

 安高さんは小学2年で子ども会に入り、中高生時代は小学生の世話や行事の企画をするジュニアリーダーとして活躍。次第に、子ども会がない地域が増え「行事に参加する機会すらない子がたくさんいる」と危機感を抱くようになった。

高校卒業後に「草加市子ども会」を設立

 そこで、高校卒業後の2006年、市内全域から参加できる「草加市子ども会」を設立。運営は中高大学生の仲間たちで担った。共働き世帯が増え、行事の手伝いや役員の仕事が保護者の負担になってきたことも、子ども会離れの一因だったからだ。

 安高さんは初代会長を09年まで2年半務めた後、「子どもたちが好きになってくれる街にしたい」との思いで市職員に。運営の一線からいったん退いたが、後輩たちも進学や就職で忙しくなり、会員数が落ち込んでいた昨年、再び会長に就任。草子連の副会長も引き受けた。

リーダー育成にも尽力「子どもの本質は不変」

 会員の積極募集とともにテコ入れを図ったのが、新たなジュニアリーダーの発掘だ。市内の独協大や高校、駅前でチラシを配り、協力を呼び掛けた。応じてくれた中高生らを対象に、リーダーの心構えや行事の企画立案などを学ぶ研修会も今年初めて開いた。

 「テレビゲームやスマートフォンが普及しても、子どもたちが楽しさや喜びを感じることは昔も今も本質的に変わらない」と語る安高さんの思いは熱い。「学年に関係なく、みんなが集える子ども会という居場所を守っていきたい」

子ども会とは

 主に小学生が対象の地域の親睦グループ。異なる年齢の子どもたちが一緒にレクリエーションやスポーツなどを楽しみ、集団行動や社会性を学ぶ。校区や町会などさまざまな単位で組織され、保護者や町会員らによって運営されているケースが多い。国が戦後の混乱期に青少年の不良化防止対策として設立を推奨し、全国に広がったとされる。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年11月7日

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