子どもにコロナワクチン接種させるべき? 10代に感染拡大、でも副反応が心配… 判断するためのポイントは

植木創太 (2021年8月17日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる

写真 ワクチン接種

接種対象は12歳以上

 ファイザー製、モデルナ製の新型コロナウイルスワクチンの接種対象が、12歳以上に広がった。既に打った、あるいは接種券が届いたという家庭もあるだろう。各地で感染が再び拡大する一方で、子どもは接種時の副反応の頻度が大人より高いとされ、保護者としては打たせた方がいいか、悩ましいところだ。判断の際に考慮したい点を整理した。

若者は重症化する可能性が低いが…

 新型コロナは、年齢が下がるほど重症化の可能性は低くなる。国の集計(11日時点)によると、80代以上は感染者の7人に1人が亡くなっているが、20代は2万5000人に1人。10代以下で亡くなった人はいない。この数字と、コロナワクチンの主な効果を発症・重症化の予防と考えれば、接種の利点は限定的だ。

 ただ、20歳以下の患者の中には、発症後に重症化して複数の臓器に炎症が起きる「小児多系統炎症性症候群」を合併する例がある。最新の米国の論文では、感染者100万人に316人。厚生労働省の手引によると、国内でも少なくとも4件の報告がある。

 加えて気になるのは、感染力の強いデルタ株が流行の中心になり、10代の感染が増えていることだ。接種が進む各国の実績からは、ワクチンが感染を防ぐ効果も明らかになっている。

感染すれば10日隔離 受験に影響も

 日本ワクチン学会理事で藤田医科大医学部小児科学教授の吉川哲史さん(60)は「基礎疾患がある子は受ける意義が大きい」と話す。健康な子でも、感染すると少なくとも10日程度隔離されることから、テストの機会を逃したくない受験生などにはメリットがある。また、コロナは感染後、嗅覚や味覚の障害などに悩む人がいる。子どもに高い頻度でこうした後遺症が現れることが分かってくれば、打つ価値が出てくる。

図解 ワクチン接種する・しないを考えるポイント

 心配な副反応はどうか。海外の臨床試験結果で、副反応が出やすいとされる2回目の接種後で比べると、体調変化の出た割合は若い年代の方が若干高い。また、接種先行国では、若い男性を中心に、心臓の筋肉に炎症が生じる「心筋炎」などの報告も。6月中旬までに3億回以上接種した米疾病対策センター(CDC)によると、疑わしい例は100万件に4件。頻度はごくまれで、ほとんどが入院すれば回復するが、吉川さんは「念のため1週間は激しい運動を避けて」と話す。接種が進むシンガポールも、2回目の接種後について同様の呼び掛けをしており、今後、情報に注意する必要がありそうだ。

重症化しやすい人が身近にいるか

 もう一つ、気を付けたいのは、接種後、緊張や痛みから気分が悪くなって失神したりする「血管迷走神経反射」だ。脳が貧血状態になるのが原因で、比較的若い世代で起こりやすい。リラックスできるという意味でも、普段から診てもらっているかかりつけ医で打つのがいいだろう。

 接種のメリットは、住んでいる場所の感染の広がりや重症化しやすい人が身近にいるか、感染者が多い都市部との往来があるかなどでも違う。免疫を持つ人が増えれば収束へ近づくが「判断は人それぞれで、打たないという考えも尊重されるべきだ」と吉川さんは言う。その上で「出どころがあいまいな情報には頼らないことが大事」とくぎを刺し、日本小児科学会のホームページなど信頼できる情報源を確認するよう訴える。

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