子どものベランダ転落、5月と秋は要注意! 窓を開ける機会が増加… 防止のポイントは?

鈴鹿雄大 (2022年9月14日付 東京新聞朝刊)

イラスト 子どものベランダ転落事故防止のためのポイント

 エアコンを使わずに窓を開ける機会が増える秋、東京都内ではベランダから子どもが転落する事故が増加傾向にある。新型コロナウイルス禍では子どもをベランダで遊ばせる親も目立つ中、事故を防ぐにはどのような点に注意すればいいのか。手すりを乗り越えやすくする踏み台を置かないことや子どもから目を離さないことがポイントになりそうだ。

子どもは想定外の動き 音や声にも反応

 8月のある日、タワーマンションが林立する江東区の臨海部。公園で長男(5つ)と次男(3つ)を遊ばせていた会社員の女性(44)は「あの事故は人ごととは思えません」と不安げに話した。

 事故は5月3日の昼下がり、近くのマンションで起きた。警視庁によると、10歳未満の小学生女児が4階の自宅ベランダから誤って転落し、足や腕を骨折。ショックで女児は一時放心状態になったという。当時、両親は外出中だった。

 警視庁幹部は「ベランダに踏み台になるものはなかった。本人は手すりを乗り越えた理由を『覚えていない』と話していたが、子どもは想定外の動きをするので注意が必要だ」と語る。

 公園にいた女性は近くのマンション3階に住んでおり、事故後は子どもをベランダで遊ばせる機会を減らした。ビニールプールで遊ばせるときは、踏み台になるものがないか細心の注意を払っているという。「子どもは好奇心が旺盛。すぐ高い所に登りたがるので目が離せない」と話した。

 小学5年の長女(10)と小学1年の長男(7つ)と一緒に公園にいた主婦(40)は、近くのタワーマンションの高層階で暮らす。コロナ禍ではベランダにレジャーシートを広げ、子どもたちとピクニックごっこを楽しむ。

 子どもたちがベランダに出るときは一緒にいるようにしているが、不安が頭をかすめることもある。「外で大きな音や声がすると、突然手すりから顔をのぞかせようとする。気が抜けません」と漏らした。

最多の5月に次いで多いのは9月・10月

 東京消防庁のまとめでは、5歳以下の子どもが2階以上の窓やベランダから転落した事故は、2015~2019年に70件あった。気候が良く窓を開ける機会の多い5月が最多の16件だが、次いで多いのが9月の11件、10月の10件だ。

グラフ 東京都内の窓・ベランダ転落事故の月間件数

 転落事故は秋に各地で起きている。2021年10月、大阪市北区で女児(4つ)が25階から転落して死亡。2018年10月には、川崎市川崎区で男児(2つ)が9階から落ちて重傷を負った。

 消費者庁の担当者は「ベランダに踏み台を置かないことが大切。特にエアコンの室外機や植木鉢には注意が必要だ」と指摘。窓の高い位置に補助錠を取り付けるのも効果的とした上で、「子どもだけで遊ばせないことが重要」と強調する。

 担当者は「今後もコロナの感染状況次第では、ベランダで遊ぶ機会が増えるかもしれない。十分に注意してほしい」と呼び掛けた。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年9月14日

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