演劇を療育に生かす放課後等デイサービス、つくば市に5月オープン 「演じることはコミュニケーション」

設楽さんが運営する演劇教室の様子=昨年10月、土浦市で(設楽馴さん提供)
演劇教室を運営する設楽馴さん
設楽さんはかすみがうら市出身。小学生の頃からゴスペルやアカペラを習い、高校時代にはロックバンドで活動した。その後、シンガー・ソングライターを経て演劇の道に。土浦市の「劇団創造市場」の団員となり、「演じることはコミュニケーションだと思うようになった」。東京都内の小劇団で主人公役を勝ち取ったこともある。

子どもを抱き締めた両腕を交差させ、体を優しくたたく「バタフライハグ」のしぐさをする設楽馴さん=つくば市で
2019年、合同会社と同名の劇団を設立。土浦市内で週1回の演劇教室を運営し、子どもと保護者らの指導に当たっている。
「呼吸法や表現方法が役立つ」
ところが、翌年に始まったコロナ禍で生活が一変。仕事がない時期が続いたが、ようやく放課後等デイサービスに働き口が見つかり、これが転機となった。
発達障害の子どもの療育に「役者として培った呼吸法やストレッチ、歩き方、人と人との距離の取り方、表現方法が役立つ」と手応えを感じたという。自身も幼い家族を失ったつらい経験があり、「生きていくためにはコミュニケーションが欠かせない。役者経験を子どもたちのために生かしたい」と一念発起。自らデイサービスを立ち上げるという大きな決断した。
対象はゼロ歳児から高校生まで
資金は、個人事業主として携帯電話販売で稼いだ自己資金と融資で賄った。演劇を生かした療育のノウハウを深めるため、日本演劇教育連盟(東京都豊島区)の会員にもなった。
デイサービスの職員には、前の職場の児童発達管理責任者や児童支援員、保育士らを招いた。劇団の仲間たちも開設に向けた準備を手伝ってくれている。施設名は犬種のパグから取った。「子どもにぴったりでしょ」と笑顔を見せる。
5月10日にオープン予定。定員10人で、ゼロ歳児から高校3年生までを預かる。利用料金は世帯収入によって異なる。施設についての問い合わせは「ぱぐ」=電話029(844)9626=へ。
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