ゆっくりでもいい。ダウン症向け子育て手帳 「できた記念日」が幸せの種に 都立5病院で配布へ
石原真樹 (2020年3月9日付 東京新聞朝刊)
東京都は、発達がゆっくりなダウン症の子に合わせた子育て手帳を、都立病院で配布することを決めた。平均身長などが示された母子手帳とは異なり、その子の成長ぶりを記録する形式になっており、周囲と比べずにわが子の成長を喜べるよう工夫がされている。
自治体の母子手帳「いいえ」チェックに親が落ち込む
手帳の名は「+(プラス)Happy しあわせのたね」。ダウン症の子を育てる東海地域の保護者グループが考案し、日本ダウン症協会(JDS、豊島区)が発行しているものだ。
各自治体が発行している母子手帳は、平均身長のグラフや「寝返りをしますか」など月齢に合わせた発達状況を確認する項目が並び、ダウン症の子は「いいえ」ばかりチェックすることになり、保護者が落ち込んでしまうことが少なくないという。
エピソード漫画、将来の支援に必要な受診歴ページも
「しあわせのたね」手帳には、「あやしたら笑った」「首がすわった」など、その子ができるようになった日を「記念日」として記録をする。先輩親やきょうだいからのメッセージ、ダウン症の子育てエピソードを描いた漫画なども収録されている。将来的に障害者年金を申請するときに必要になる受診歴などを書き込めるページもある。
関東で配布は東京が初 「穏やかな育児へのヒントに」
都はJDSから100部程度提供を受け、広尾病院や多摩総合医療センターなど5つの都立病院で、準備が整い次第、希望する保護者に配布する。愛知県や静岡県では配っているが、関東の自治体でこの手帳を配布するのは初めて。
JDS理事の水戸川真由美さん(59)は「ダウン症の子が一番多い東京が取り組めば、全国に広がるきっかけになる。穏やかな育児が楽しくなるヒントを伝えたい」と話す。手帳はJDSのサイトでもダウンロードできる。
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