地元の飲食店まとめて「街ごと子ども食堂」に 全国が注目、茨城の”境町モデル” 休校の子に無料でお弁当

宮尾幹成 (2020年5月20日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
 新型コロナウイルスの影響による学校の休校で給食がなくなった子どもたちのために、地域の飲食店を「子ども食堂」化する茨城県境町の試みが好評だ。「ふるさと納税」で募った寄付金を原資に、離れたところにいる人に食事をごちそうできるスマホアプリを活用。子どもたちは無料でテークアウト弁当を食べられる。子ども食堂の新しい運営手法として、全国の自治体からも注目を集めている。

ふるさと納税で無料提供される弁当を受け取る子どもたち=茨城県境町の若菜亭で

ふるさと納税×ごちそうアプリ×境町 三者が協力

 町内のダイニングバー「若菜亭」。午前11時の開店に合わせ、何組かの親子連れが訪れた。鶏の唐揚げや卵焼き入りの「お子様弁当」を受け取った2人の女の子の父親で、イベント業の根本智広さん(38)は「妻は医療関係の仕事で忙しく、休業中の私が子どもに食事させないといけない。栄養も偏らず助かっています」と笑顔を見せた。

 ふるさと納税の総合サイト「ふるさとチョイス」を運営する「トラストバンク」、スマホのごちそうアプリ「ごちめし」を運営する「Gigi」、境町の三者がタッグを組んだ。サイトを通じて町に寄せられた寄付金を使い、町がアプリ上で食事を「ごちそう」する意思を表明。スマホで情報を得た子育て家庭が飲食店を訪ねれば、無料の弁当をもらえる仕組みだ。

21店が参加、連日完売 店側はファン開拓に期待

 4月1日にスタートし、中断を挟んで大型連休明けに再開。現在は21店がそれぞれ1日10食、500円相当の弁当を提供する。連日「完売」の人気。当面は学校の休校期間に合わせて続ける。

 コロナ禍で売り上げが減った飲食店を応援する狙いもある。若菜亭では、一緒に来店した大人が有料の弁当を買ってくれることも多いといい、マネージャーの野口怜子さん(39)は「今まで食べたことのない方に、うちの味のファンになっていただければ」と宣伝効果にも期待する。

家庭と飲食店をW支援 複数自治体が問い合わせ

 子ども食堂は、貧困や親の共働きといった事情で家庭で温かいごはんを食べられない子どもたちに、地域住民やボランティア、NPOなどが無料や低価格の食事を提供する取り組み。各地でさまざまな形で運営されているが、子育て家庭と地域の飲食店の双方を同時に支援できる「境町モデル」には「複数の自治体から問い合わせが来ている」(境町まちづくり推進課の柴崎太郎課長)という。

 トラストバンクとGigiは、関心のある自治体への説明を始めた。橋本正裕町長は「全国に『街ごとこども食堂』をつくっていきましょう」と呼び掛けている。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年5月20日

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