乳児~25歳に「読んで欲しい本」2500冊 横浜「たまプラーザ駅徒歩2分図書館」 学校・自宅以外の第3の居場所に

杉戸祐子 (2021年5月5日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
 新型コロナウイルスの収束が見通せず、子どもたちの心身への影響が懸念される中、横浜市青葉区に今年1月、子どもと若者を主なターゲットとする私設図書館がオープンした。コロナ禍で人と人の関わりが制限されがちだが、子どもたちが伸びやかに本や遊びを楽しめる空間になっている。
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来館した親子連れを見守る青柳さん(右奥)

コロナ禍でも安心して長くいられる

 今月1日午前、東急電鉄たまプラーザ駅近くの「たまプラーザ駅徒歩2分図書館」が開館するや、川崎市宮前区の小学2年中川もあさん(7つ)が訪れた。週に何回も通う「常連さん」だ。「本がいっぱいあるし、床で寝転んだり遊んだりしててもいい。今はコロナでいろんな所に行けないけど、本を読むと、本当は行けない世界にも行ける」

 続いてやって来た横浜市青葉区の小学2年坂本晴佳さん(7つ)は床に座り、仕掛け絵本を読みふけった。生後9カ月の長男潤弥くんを抱っこした母の多恵さん(38)は「コロナ禍でもあり、公立図書館は本を読むというよりサッと選ぶ場所。ここは子どもと安心して長くいられる」と話した。

「迷惑かけない」ルール守れば飲食可

 運営するのは、同じスペースで動画配信スタジオを営む同区の青柳志保さん(52)。仕事の傍ら週3、4回開館し、小中学生を中心に1日7、8人、多い日は20人ほどが訪れる。利用対象は乳幼児~25歳。未就学児は保護者も一緒に入れる。「他の利用者の迷惑にならないように」というルールのもと、読書したり積み木で遊んだり、自由に過ごす。おしゃべりや飲食もOK。子どもたちが一緒にお菓子を食べ、ごみの片付け方を話し合う姿も見られるという。

 開設のきっかけは新型コロナによる昨年春の一斉休校。当時中学3年だった長男が友人数人とスタジオに来てしゃべったり、ゲームをしたりして過ごしていた。公立図書館や地区センターが休館となる中、「子どもたちが気持ちに合わせて出入りできる場所が地域にあるといい」。学校でも自宅でもない「第三の居場所」を思い描くうち、横須賀市に子どもと若者向けの私設図書館があることを知り、「私もやろう」と決めた。

 約80平方メートルのスタジオの一部を改造し、木材を買って本棚を設置。昨年12月から会員制交流サイト(SNS)を通じ、不要な本ではなく「読んで欲しい本」の寄贈を募り、児童書を中心に絵本、図鑑、マンガなど約800冊をそろえてオープンした。現在は約2500冊が本棚に並ぶ。貸し出しの冊数制限や返却期限はないが、「ほとんどの子がきちんと返す」という。

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バイオリン体験イベントも開かれた=いずれも横浜市青葉区で

「アートの日」「ノーボーダーDAY」も

 子どもたちが美術や音楽を体験する「アートの日」も企画。1日に講師を招いて行われたバイオリン体験に参加した同区の中学3年松崎宝夏(ほなつ)さん(14)は、「あこがれていた楽器を弾けたし、初めて会う人と話すと新しい発見ができる」。母の千智さん(39)は生後6カ月の次女美邦(みくに)さんをあやしながら「コロナ禍の出産・育児はすごく孤独。来られる場所があって救われている」と実感を語った。

 音楽で子どもの育成を図る「リトミック」やベビーマッサージも行うほか、今月から障害の有無にかかわらず来館できる「ノーボーダーDAY」を企画している。青柳さんは「未来をつくるのは子どもと若者。『来て良かった』と思いながら帰ってもらえる場所にしていきたい」と願う。

 開館日やイベント予定などの詳細はFacebookへ。

[元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年5月5日

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