子どもの「もう一回読んで」は最大のほめ言葉 読み聞かせの絵本を選ぶポイントは?

子育て世代がつながる
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おすすめの絵本を持つ近藤麻智子さん(左)と大友剛さん

 新型コロナウイルスの感染拡大で、おうち時間が増えている子どもたち。人との触れ合いを持ちづらい今、「心の栄養」となる絵本の楽しみ方や選び方を紹介するオンラインイベント「親子で過ごそうえほんの時間」が1月31日に開催されました。東京新聞が運営する絵本サイト「こどもブックワールド」が主催。絵本専門士の資格を持つフリーアナウンサーの近藤麻智子さんと翻訳家の大友剛さんによる読み聞かせもあり、視聴者からとても参考になったと多くの反響がありました。大人も子どもも、一冊の絵本があれば知らない世界を共有できる。イベントでは、限りない想像の世界が広がる絵本の魅力も教えていただきました。

親も読みたい本で「楽しむ」のが大切

 おうち時間を充実させる絵本選びのポイントは、「子どもはもちろん、親自身もいいな好きだなという感覚を大切にすること。そして、できるだけ幅広いジャンルから選ぶこと」と近藤さん。「親が読んで心地良く、子どもに読んであげたいなと心から思える本は子どもにも伝わる」と、4歳の長男を育てる経験をもとに、親も絵本を楽しむことの大切さを視聴者に語り掛けました。

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 小学6年生の長男がいる大友さんは、小学2年生くらいまで読み聞かせをしていたそう。「(息子は)絵探しがすごく好きな時期もあったし、ユーモア絵本やナンセンス絵本とかが好きな時期もありました。常に興味が変わっていく。だから読み手が何を読みたいか、今一番読みたい絵本は何かを考えて、それをセレクトする。その上で、子どもの興味が何に向かっているのかを感じながら決めるのが良いと思います」と、まず読み手の満足が大切と話しました。

繰り返し読むことで、物語を吸収する

 「子どもが同じ本を読みたがるのですが、良いのでしょうか」という質問に大友さんは、「子どもというのは、繰り返し、繰り返し、繰り返し読んで、作者以上に絵の事も物語の事もどんどん吸収して、そしてそれが子どもの血と肉になっていく。私も振り返ると、昔両親が読んでくれた絵本は、何度も読んでくれたものが心に残っています。だから、繰り返しというのは、すごく大事だと思います。『もう一回読んで』は、最大のほめ言葉」と自身の経験を踏まえて、繰り返し読むことの大切さを訴えました。

 『おおゆき』の読み聞かせでは、山形弁で語り掛けた近藤さん。「キャラクターごとに声色を変えたほうが良いか」と問われると、「無理はしません。自然にできるのが一番。絵本の世界に自分も入っていたら自然とその役の声が出てくる」とアドバイスしました。

コロナ禍でも”楽しい時間”を思い出に

 近藤さんは、親子のコミュニケーションツールとしての絵本の価値に触れ、「子どもの成長にとってリアルな人とのやりとり、リアルな人との触れ合いはとても大切。だからこそ、このおうち時間が長い時に、絵本を介して親子で心と体をたっぷり触れ合わせる時間を」と、家庭における絵本の存在意義に触れました。

 コロナ禍で家の中で過ごす時間が増えています。大人も子どもも知らず知らずのうちにストレスを抱えているかもしれません。大友さんは「コロナ禍を振り返った時、あの時、お父さんもお母さんも絵本をたくさん読んでくれて、すごく家族で楽しい時間が多かったねと思えるように。ピンチをチャンスにしたいですね」と視聴者にメッセージを伝えました。

読み聞かせにおすすめの絵本5選

『100年たったら』

石井睦美/文 あべ弘士/絵 4歳から 定価1650円 アリス館

【読み聞かせポイント】何度もアフリカを訪問されたあべ弘士さんの描くアフリカの草原やライオンの絵が見どころ。まずはそこをじっくりと楽しみましょう。物語のポイントは「時の流れ」。世界や生き物、生命のつながり、循環を感じる絵本です。何百年、何千年という時を超えていくお話なので、その歴史を感じられるようにゆったりと読んでほしい作品です。(大友さん)

 

『こけももむらのゆうびんやさん』

よこたあきこ/文 みなみあきこ/絵 3歳から 定価1430円 岩崎書店

【読み聞かせポイント】細やかなイラストが特徴的な絵本。まずはそのイラストを隅々まで味わってみましょう。昆虫好きなお子さんは、作中に出てくるたくさんの昆虫を探すのも楽しいと思います。見返しの「こけももむらのちず」も見どころで、れたーくんのたどった道のりを親子で考えるのも楽しいです。物語に登場する遊びや料理を実際に再現してみるのもおすすめです。(近藤さん)

 

『おともだちたべちゃった』

ハイディ・マッキノン/作 なかにしちかこ/訳 3歳から 定価1540円 潮出版社

【読み聞かせポイント】想像する余白の多い絵本。子どもは大人の何十倍もよく絵を見ているので、絵を見る時間をたっぷり取って読み進めていきましょう。作中に登場するたくさんのキャラクターの表情などをじっくり楽しみながら読んでください。読み聞かせは“ライブ”です。その時々で読み方の雰囲気を変えてみるのも面白いと思います。(大友さん)

 

『しっぱいなんかこわくない!』

アンドレア・ベイティー/作 デイヴィッド・ロバーツ/絵 かとうりつこ/訳 4歳から 定価1540円 絵本塾出版

【読み聞かせポイント】「言葉の間」「ページをめくる間」「反応を待つ間」の”3つの間”を意識しましょう。大人はどうしても早口になりがち。焦らずに子どものペースに合わせましょう。主人公が落ち込むシーンでは、子どもも深く共感することがあります。その表情に合わせて余韻を残し、ゆっくりとページをめくりましょう。そして子どもがそのページを満足したか、反応を見ながら読み進めてみてください。(近藤さん)

 

『おおゆき』

最上一平/作 加藤休ミ/絵 4歳から 定価1540円 鈴木出版

【読み聞かせポイント】裏表紙に描かれている「赤いそり」。これは作者によると、お話の中で活躍し役目を終えたそりがたたずんでいるような余韻を表現したそうです。裏表紙に描かれているイラストから、物語のその後のストーリーを考えてみるのも一つの楽しみ方。おうち時間が増えた今、これまで読んでいた絵本を裏表紙に注目して読み返してみるのも楽しいかもしれません。(近藤さん)

※お二人の読み聞かせの様子を収めた動画を近日公開します。

左:近藤麻智子さん 右:大友剛さん

近藤麻智子さん

フリーアナウンサー。絵本専門士、絵本セラピスト(®)、絵本講師の資格を持つ。札幌テレビ、新潟総合テレビアナウンサーを経てフリーアナウンサーへ転身。その後、TOKYO MXキャスター等で活躍。大人向けの絵本ワークショップや、親子向けのイベント「絵本ヨガ」を主宰。各メディアでの執筆やセミナー講師を務めるなど、絵本の魅力を広める活動を展開。著書に『絵本ヨガ 森のくるるん』(そうえん社)。2児の母。

大友剛さん

ミュージシャン、マジシャン、翻訳家。自由の森学園卒業後、アメリカ・ネバダ州立大学で音楽と教育を学ぶ。帰国後、北海道のフリースクールのスタッフとして、不登校・引きこもりの若者と触れ合う。「音楽」「マジック」「絵本」という異色の組み合わせで国内外で活躍。2011年にEテレ「すくすく子育て」に出演。『ねこのピート』シリーズ(ひさかたチャイルド)、『えがないえほん』(早川書房)をはじめ、数多くの絵本の翻訳を手掛ける。

「こどもブックワールド」とは

 東京新聞ではおすすめの絵本を紹介する広告特集「こどもブックワールド」を毎月掲載しています。こどもブックワールドのWebサイトでは、これまで紹介した絵本のアーカイブからお子様の年齢に適した絵本を探すこともできます。毎月絵本をプレゼントしています。

★こどもブックワールドのWEBサイトはこちら

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