横浜に「こどもホスピス」完成 余命を宣告された子どもが願いをかなえる場所に

丸山耀平 (2021年11月22日付 東京新聞朝刊)
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「横浜こどもホスピス~うみとそらのおうち」1階のホール。高さの違うキッチン台を使って親子で料理をしたり、テーブルを囲んで地域住民らと交流したりできる

国内2例目の単独型施設

 難病やがんで余命を宣告された子どもたちが、海を眺めながら家族と一緒に過ごせるデイサービス緩和ケア施設「横浜こどもホスピス~うみとそらのおうち」が21日、横浜市金沢区に完成した。病院を併設しない単独型こどもホスピスは大阪市内の施設に次いで国内2例目。1日2~3家族の利用を想定している。

6歳だった次女を脳腫瘍で亡くして

 落成式で運営主体のNPO法人「横浜こどもホスピスプロジェクト」の田川尚登(ひさと)代表理事(64)は「残された時間を有意義に使える第2のわが家のような場所にしたい」と期待した。

 田川さんは1998年、6歳だった次女を脳腫瘍で亡くした。2008年、「病気の子とその家族を支えたい」と神奈川県立こども医療センター(横浜市南区)の近くに遠方から見舞いに来た家族が滞在できる「リラのいえ」を開設した。

 こどもホスピスの建設を望んだ同県藤沢市の元看護師・故石川好枝さんが1億500万円を遺贈。募金やコンサートで資金を集めた。

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「第二のわが家のような場所にしたい」と意気込む田川さん

看護師が常駐 海の見える家族風呂も

 敷地面積は727平方メートルで建物は2階建て。1階は患者家族同士が親交を深めたり、地域住民と交流しキッチンで食事を作ることもできる。2階は大きな窓から海を見ながら家族で入浴できる風呂や、だんらんスペースなどがある。

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海を見ながら家族で入ることができる2階の風呂

 看護師や保育士が常駐し、子どもたちや家族の希望に合わせた個別のプログラムを提供する。将来は宿泊も視野に入れている。

終末期に子どもの願いをかなえ、一緒に楽しい時間を共有することが、その後に家族が立ち直るきっかけにもなる」

 「横浜こどもホスピス~うみとそらのおうち」運営主体のNPO法人「横浜こどもホスピスプロジェクト」の田川尚登代表理事(64)は「子どもたちにやりたいことをリクエストしてもらい、願いをかなえる場所にしたい」と意気込む。

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家族や地域住民らと過ごせるスペース

 2階建てで、看護師や保育士が常駐する。1階に家族同士や、地域住民らが交流できる広いスペースを確保。キッチンには、子どもが大人と一緒に料理ができるよう、高さの違うキッチン台を設けた。お菓子作りに挑戦したり、友だちを呼んで小さなパーティーを開いたりできる。

 2階には、個室3部屋を用意。家族だんらんのひとときを過ごせるように、ベッドとソファの高さを合わせてあり、川の字で横になれる。風呂は窓から海が見え、壁一面にプロジェクターで映像を流してリラックスできる空間にした。また施設内は間接照明を使い、天井を高くして圧迫感を減らす工夫も施されている。

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高さをそろえたベッドとソファが並び、家族でゆっくり過ごすことができる2階の個室

 田川さんは「終末期に子どもの願いをかなえ、一緒に楽しい時間を共有することが、その後に家族が立ち直るきっかけにもなる」と話す。

 利用は会員登録が必要。問い合わせは「うみとそらのおうち」=電話045(353)3153=へ。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年11月22日

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