退職率の歯止めになるか「教職員のためのコミュニケーションガイドブック」 若手5000人超アンケートから都教委が作成

三宅千智 (2024年3月22日付 東京新聞朝刊に一部加筆)
 教職員が働きやすい職場づくりに向け、東京都教育委員会は、若手教員5000人超のアンケートを基にした「教職員のためのコミュニケーションガイドブック」を作った。都内公立学校の全教職員に配り、職場環境の向上と教職員の退職・休職防止につなげたい考えだ。
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都教育委員会が作った「教職員のためのコミュニケーションガイドブック」

精神科医監修 意思疎通のアドバイス 

 都教委は昨年10、11月、採用3年目までの教員5280人にオンラインで無記名のアンケートを実施した。8割が「先輩や上司の言動で、うれしかったり励みになったりしたことがある」と回答し「『字が上手ですね』と褒めてくれたり、小さなことでも日々声をかけたりしてくれる」などの具体的なエピソードも寄せられた。「先輩や上司の言動で、落ち込んだりつらい思いをしたりした」を選んだ人も5割いた。

 全17ページのガイドは、こうした若手教員の意見や体験談を伝える一方で「相手の立場に立った言動」「感謝を伝える」など、スムーズな意思疎通を図る上でのポイントも紹介。都教職員互助会三楽病院の精神神経科部長による監修で、心の不調が見られる教職員への対応の仕方も掲載している。

減らぬ残業 上がる若手教員の退職率 

 東京都教育庁人事部によると、都内公立学校の新規採用教員の1年以内の退職率は2020年度が2.8%、2021年度4.2%、2022年度4.4%と近年増加傾向にある。担当者は「職場の人間関係で悩みを抱える教職員もいる。ガイドを参考に、職場の円滑なコミュニケーションにつなげてほしい」としている。

 都教委は今月7日、外部人材の活用や働きやすい職場づくりなどを盛り込んだ「学校における働き方改革の推進に向けた実行プログラム」を策定した。国が残業時間の上限と定める「月45時間」を超える教員の割合を2027年度までにゼロにするなど、成果指標も掲げた。残業時間が月45時間を超えた都内公立学校の教員の割合は、昨年10月時点で、中学校で49.9%、小学校で38.2%だった。

 「教職員のためのコミュニケーションガイドブック」は都教委のWebサイトでPDF版がダウンロードできる。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2024年3月22日

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