「戦争に使われる子どもを守れていない」 ノーベル平和賞のムラドさんが国連で講演
赤川肇 (2019年9月25日付 東京新聞朝刊)
過激派組織「イスラム国」(IS)の性虐待から逃れたイラク出身の人権活動家で2018年のノーベル平和賞を受賞したイラク出身の人権活動家ナディア・ムラドさん(26)が23日、米ニューヨークの国連本部で講演し、自身の経験から「戦争のために使われる子どもらを守ることができていない」と訴えた。
ISの拘束から脱出「今も多くの子どもが行方不明」
ムラドさんは、各国首脳らが集まる国連総会ハイレベル週間に合わせ、紛争下の子どもの権利を主題にした関連行事で講演した。
イラクのクルド民族少数派ヤジド教徒として2014年、他の子どもらとともにISに拉致され、自身は3カ月後に脱出できた。しかし「5年後の今も、何千人ものヤジド教徒の行方が分からない。多くが私の家族や村の子どもだ」と現状を説明。洗脳や暴力から救出された子どもらへの教育など、社会復帰を支える体制が不足していると強調。「さらなる問題を社会に生むことになる」と警告した。
アフガン、シリア…障害負う子ども過去最悪の水準
国連によると、18年に武力紛争で死亡したり障害を負った子どもはアフガニスタンで少なくとも3000人、シリアで1800人、イエメンで1600人など、「世界的に過去最悪の水準」だったという。
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