女性のジュニアアスリート 適切な体調管理できる環境を

森川清志 (2018年9月1日付 東京新聞朝刊)

啓発冊子を作成するために開かれた検討委員会の初会合=都庁で

 2020年東京五輪・パラリンピックを前に、都は女性のジュニアアスリートが抱える課題に男性指導者らが適切に対処できるよう、啓発冊子の作成に乗り出した。中学・高校生は女性としての体をつくる大切な成長期にあるが、正しい体調管理がされないまま競技を続けることで、健康を害するケースもあるという。有識者らが議論を重ね、来年3月までにまとめる。

現状に危機感「月経などの問題を抱えたまま…」

 31日、冊子作成のための検討委員会が都庁で初めて開かれた。有識者の各委員からは、現状に危機感を訴える意見などが出た。

 大学で女子バスケットボール部の部長を務める大東文化大の工藤保子准教授は「月経や貧血などの問題を抱えたまま、知識を持たずに大学まできた子たちを目の当たりにして、何とかしなければと思っていた」と説明。

 順天堂大の鯉川なつえ准教授は「(女性アスリートの)身体生理的な課題だけがよくなれば、すべてがよくなるわけではない」と述べ、問題が報道されているようなコーチとアスリートの関係性なども含めて考えるべきだとした。

「男性指導者も、女性アスリートの特徴に理解を」

 スポーツドクターの浜中一輝医師は、16年リオデジャネイロ大会で、日本選手団の女性コーチは五輪が12%、パラリンピックが20%だったと指摘。女性指導者を急に増やせない中、「男性指導者も女性アスリートの特徴に理解を深め、競技力向上に結びつけられれば」と話した。

 日本身体障がい者水泳連盟の峰村史世理事は「中学・高校生でパラリンピックの日本代表に入ってくるような選手もたくさんいる。(障害の)状況がいろいろあるので、ベースとなる知識を身につけるのは大事だ」とした。

 こうした冊子は徳島県が今年3月に作成した。都は都内だけでなく、全国で使ってもらえるような内容を目指すとしている。

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