中学校の中にフリースクール 教育支援員が常駐、不登校の生徒の居場所に 笠間市教委「全校に配置したい」

出来田敬司 (2023年7月20日付 東京新聞朝刊)

校内フリースクール「つばさ」。専門の教育支援員が不登校の生徒たちを温かく迎え入れる=笠間市立友部中で

 不登校の生徒たちの学びを支援するフリースクールが6月下旬、笠間市立友部中学校に開設された。「居場所」を校内につくることで登校のハードルを低くする狙いで、茨城県内ではつくば市などに続く取り組み。まだ利用者は少ないが、笠間市教育委員会は将来的には市内の全中学校に設置したいとしている。

ほかの生徒と顔を合わせないよう配慮

 校舎の3階に設けられたフリースクール「つばさ」。笠間市教委の教育支援員が常駐し、生徒たちの学習を指導したり、学校生活の相談に乗ったりする。1人で読書したり自習したりしても構わない。タブレット端末で一般の教室の授業を受けることもできる。

 同校には現在、不登校の生徒が十数人いる。今のところ「つばさ」に来るのは女子2人にとどまるが、生徒の心理を考慮して廊下や階段でほかの生徒たちと顔を合わせないようにするなど、十分な受け入れ態勢を整えている。

 笠間市ではこれまで、市こども育成支援センターに設けた「教育支援室」で不登校の児童・生徒を受け入れてきた。現在は小学生から高校生までの46人が利用。例年、ゴールデンウイークや夏休みの後に増える傾向にある。

居場所の存在が自発的な登校を後押し

 不登校になるきっかけは、人間関係のつまずきや学業の不振、心身の病気のほか、教育に向ける保護者の関心の低さなどだ。校内フリースクールは「学校に居場所をつくることで、生徒の自発的な登校を後押しする役割がある」(仁平秀明・市教委学務課課長補佐)。生徒の居場所を家庭から教育支援室、さらに校内フリースクールへと振り向けたいという。

 友部中の石井健校長によると、「中学生は3年生になると、再び登校してくる生徒も多い」。高校進学を希望し、受験勉強に取り組もうとする生徒がいるためだ。高校は全日制や定時制、通信制と通学の形がさまざまで、高校進学は不登校を克服するきっかけになるという。

 校内フリースクールの設置は、2019年ごろ横浜市の小学校で始まったとされ、広島県や愛知県などにも波及。茨城県内では2022年度以降、つくば市や坂東市を皮切りに導入の動きが出始めている。

 笠間市教委の稲田和幸学務課長は「一言で不登校といっても、保護者や生徒の考え方はそれぞれ。私たちができることは限られるが、こういう居場所があることを知ってもらえれば」と話す。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2023年7月20日

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  • 現役中学生 says:

    私はクラスメイトとうまくいかず現在不登校です。

    最近、別室でタブレット端末を使ってオンラインで一般の教室の授業が受けられるようになり、学校に少しずつ行けるようになっています。

    私みたいなクラスに馴染めなかった子などは学校の中にフリースクールがあることが大きな救いになると思います。なのでいろんな所でこういった取り組みをしてくださると嬉しいです

    現役中学生 その他 10代
  • 教師のバント says:

    現場で体を張っている関係者の方々に敬意を表したい。

    私は四半世紀で5校の勤務経験があるが、どの高校でも不登校生徒は常にいた。多くは復帰できず、進路変更となった。担任を持つと誰かがいなくなっていた。

    私はスクーリングが少なくても卒業できる通信制様の高校を増やして欲しいと思う。集団生活に馴染めない生徒が一定の割合で存在する以上、彼らの存在は無視できない。受け皿は準備するべきである。

    全日制でなくても良いではないか。卒業後が人生である。

    教師のバント 男性 50代

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