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〈アディショナルタイム〉勝利のカギは?一流アスリートに学ぶ「勝ち飯」メニュー

谷野哲郎  
スポーツを頑張る子どもに何を食べさせたらいいのだろう?そんな悩みを抱えるお父さん、お母さんは多いのではないでしょうか。スポーツの秋、食欲の秋。今回はアスリート食の最新事情を取材し、子どもたちの食育を考えるヒントをお届けします。

ジュニアを育てる食育、五輪代表と同じ内容

 10月初旬、東京都北区の味の素ナショナルトレーニングセンターで開かれた食育プログラム「勝ち飯」教室をのぞいた。「スポーツで勝てる強い体のジュニアを育てる」がテーマ。授業内容は五輪を目指す日本代表候補たちが勉強しているものと同じだという。

 「まず、何を食べるかではなく、何のために食べるかを考えましょう」。2008年北京五輪の競泳日本代表で、栄養管理士の柴田隆一さんが説明してくれた。栄養には大きく分けて、体を「作る」「動かす」「整える」の働きがあり、それを意識しながら、以下の5つの要素を取るようにするのだそうだ。

 ①主食=体を動かすエネルギーとなるご飯、パン、麺類。

 ②主菜=筋肉や骨などを作る、肉や魚、卵を使ったおかず。

 ③副菜=体の調子を整える野菜や海藻、キノコなどで作ったおかず。

 ④乳製品=骨や歯を丈夫にする牛乳、ヨーグルト、チーズなど。

 ⑤汁物=消化を促すみそ汁やスープ。これにビタミンが採れる果物があればベストだとか。

子どもたちの食事

スポーツをしている子どもたち向けのメニューの例

 親の立場ではつい、これを食べれば即結果が出るという万能レシピを求めがち。だが、柴田さんは「そうではなく、バランス良く食べるのが一番」。写真はスポーツをしている10~11歳を想定したメニューの一例。この日はご飯、鳥の照り焼き、ほうれん草のお浸し、サラダ、豚汁、ヨーグルト、グレープフルーツだった。

最初にみそ汁を一口→アミノ酸で食欲アップ

 それでも、柴田さんはこんなスペシャルヒントを教えてくれた。「実は食事のとき、最初に汁物を飲むといいんです。一口でいい。みそ汁などの出汁(だし)に含まれるアミノ酸が、体の中で食欲のスイッチを入れ、胃腸に消化の準備をさせるのです」。食が細い子は試してみるのもいいだろう。

 では、試合の前日は何を食べればいいのか。「うちはレースの前夜は必ず鍋。野菜もお肉も取れ、炭水化物がたくさん取れるから」。こう話すのは競泳・瀬戸大也選手の妻・優佳さん。リオ五輪の競泳チームは毎日のように鍋料理を食べたそうで、平昌五輪で連覇を達成したフィギュアスケートの羽生結弦選手も鍋や豚汁、けんちん汁などを調整に取り入れた。脂質を抑えて消化器に負担を掛けず、エネルギー源となるご飯が多く食べられるから。

日本代表が試合後に必ず食べた「カレー」

 ちなみに、試合後のお勧めは「カレー」という人がいる。サッカー日本代表の専属シェフ・西芳照(にし・よしてる)さんは代表戦の後、必ず疲労回復のためにカレーライスを出してきた。「試合後、30分以内に炭水化物やタンパク質を取ると、痛んだり、疲れた筋肉を早く元に戻せる。豚や鳥肉にビタミン豊富なパプリカなどの野菜を刻んで入れれば、一皿で全部食べられる」

 筆者はこの「日本代表カレー」を食べたことがある。辛すぎず、やさしく、家庭的な味だった。それにしても、みそ汁や鍋、カレーといった国民的な料理がトップ選手の食を支えていたとは、意外でもあり、誇らしくもある。

 昨年10月に結婚した優佳さんは「料理はまだ半人前。でも、私も一緒に戦いたいんです」。おいしく、体にも良い料理で、頑張る子どもや家族をサポートできれば、これほどうれしいことはない。子どものスケジュールを見る。献立を考える。さて、今日の夕飯は何を作ろうか。

 「アディショナルタイム」とは、サッカーの前後半で設けられる追加タイムのこと。スポーツ取材歴30年の筆者が「親子の会話のヒント」になるようなスポーツの話題、お勧めの書籍などをつづります。