たった一歩で世界は広がる。ディズニープリンセスが女子サッカーを始めるきっかけに JFAの親子教室「マジカルフィールド」

谷野哲郎
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左は「JFA Magical field Inspired by Disney」のキービジュアル(ⓒDisney/Pixar)

コラム「アディショナルタイム」

 茨城県のカシマスタジアムで7月8日、少し変わった形のサッカーイベントが行われました。この日開催されたのは、日本サッカー協会(JFA)とウォルト・ディズニー・ジャパン社による「JFA Magical Field Inspired by Disney ファミリーサッカーフェスティバル ”First Touch Premium ” in 茨城」。今回は、女子サッカーとディズニーがコラボした異色の親子サッカー教室の模様を紹介します。
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ディズニープリンセスが描かれたTシャツを着て参加する親子

サッカー経験のない小1~3年生と保護者

 マジカルフィールド・ファーストタッチは、これまでサッカーをやったことがない小学1年生から3年生の子どもと、その保護者を対象とした2人1組で参加するサッカー教室です。

 「たった一歩で、世界は広がる」というコンセプトの下に、昨年からJFAとディズニーが協力して開催。この日は午前の部、午後の部を合わせて、135組270人の親子が参加しました。

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スタジアムの大型ビジョンやコーン、参加社のTシャツとディズニープリンセスがいっぱい

 最大の魅力は、ディズニープリンセスと一緒にサッカーを体験できること。ピッチに足を踏み入れると、スタジアムの大型ビジョンから、練習用のコーン、そして、ボールまでがディズニーの世界。「あっ、アリエルがいる!」「あそこにはラプンツェルも!」。子どもたちの歓声が響きました。

元なでしこ澤さん&阪口さんがお出迎え

 イベントは午前9時半から始まりました。親子でディズニープリンセスが描かれたTシャツに着替えると、コーチたちがお出迎え。午前の部はスペシャルゲストとして、元なでしこジャパンの澤穂希さん(44)と阪口夢穂さん(35)が参加。ハイタッチで歓迎しながら、「皆さん、今日はサッカーを楽しみましょうね」と話しかけていました。

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参加者をお出迎えする澤穂希さん(左奥)と阪口夢穂さん(左手前)

 軽いウォーミングアップのあと、いよいよ、サッカー教室がスタートです。親子でパスをしたり、ドリブルをしたり。サッカーボールを使ったさまざまな遊びに、緊張気味だった子どもたちも笑顔になっていきます。ミニゲームでは、シュートが決まり、親子でハイタッチをして喜ぶシーンもありました。

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ナイスプレーに大喜び!

 最後は、記念撮影をして11時半に終了。約2時間の体験教室はあっという間に過ぎ、茨城県在住の小学3年生の女の子は「お母さんと一緒にサッカーをして、面白かった。またやりたい!」と話していました。

地元の女子中高生がコーチやサポート役

 イベントの最後にはプレゼントが配られました。お土産は、ディズニープリンセスのマークが入った特別なボールです。親子がおそろいで着たTシャツも参加者に進呈されました。

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プリンセスのマークが入ったボール(左)をお土産にもらい、子どもたちも大満足

 JFA広報担当は「サッカーを経験していないお子さま、ほとんど初心者というお子さまたちが大多数。サッカーに触れてもらうきっかけになれば。大好きなディズニープリンセスと一緒なら、いい思い出になると思います」と説明しました。

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コーチのお姉さんたちともハイタッチ

 大切にしたのは雰囲気づくり。ピッチの上で子どもたちを教えたのは、協会が指名したコーチの他、茨城フットボールアカデミーの女子高校生たちで、サポートスタッフは地元・小美玉フットボールアカデミーの女子中学生たちでした。これは、保護者の方が、将来、子どもがサッカーをした場合、成長した姿をイメージしやすいようにとの配慮から。子どもにも、お母さん、お父さんにも楽しんでもらおうというコンセプトが徹底されている印象でした。

小1の母・澤穂希さん「私も参加したい」

 イベント終了後、澤さんと阪口さんが報道陣に対応。プロジェクトキャプテンでもある澤さんは小学1年生の娘を持つ母親ということもあり、子育てにも言及しました。

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何かを始める時の勇気と不安

―印象はいかがですか?

「今年初めての参加でしたが、子どもたち、お父さん、お母さんの笑顔が見られて、私たちも楽しかったです。娘と同じ年齢の子どもたちがいて、私もこういうのがあれば参加したいと思いました」

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上手にできるかな。親子でサッカー教室を楽しむ参加者たち

―初心者の子どもたちでしたが。

「終わった後、また参加したいと言ってくれている子がいて、それがうれしかったですね。(子どもたちは)最初、お母さんにべったりだったのに、終わるころには全員、ニコニコしてボールを追いかけていて。何かを始めるときには勇気もいるし、不安にもなる。そういう意味ではいい機会だったと思います」

―ディズニーはいいきっかけになりそうですね。

「はい。この世代ってやっぱりディズニープリンセスがすごく好きな子が多いので、いい企画だと思います。ディズニーは大体の女の子が通る道。うちの子もいろいろ興味があって、娘のおかげでプリンセスの名前を覚えることができました(笑)」

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笑顔でボールと戯れる子どもたち

子どもに教えるコツは、褒めること

 「子どもたちに教えるコツはありますか?」という質問に、澤さんは「日頃の子育てもそうだと思うんですけど、できたときにすごく褒めてあげること。成功体験というか、褒められると誰でもうれしいですよね。それが自信にもつながる。結果はうまくいかなくても、一生懸命やった過程は素晴らしいので、そこを褒めてあげれば」と返答。

 一緒に指導した阪口さんは「子どもたちは一人一人違って、レベルが違う子がいる。その子たちのレベルに合わせてあげることが大事だと思いますね」と話していました。

女子選手を目指す子を増やすには?

 このようなイベントが行われたのには、理由がありました。JFAは5月29日に会見を開き、女子委員長の佐々木則夫さん(65)が「今よりもっと、女子サッカー選手を増やしたい」とこのイベントの趣旨を説明しました。

 佐々木さんによると、2011年になでしこジャパンがW杯で優勝した後には「女子サッカー選手になりたい」という子どもたちが増えたのですが、現在は伸び悩み、今年3月現在、女子選手の登録数は約5万人にとどまっています。ライバルの米国は160万人、ドイツは100万人といわれているので、差をつけられているのが分かりますね。

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笑顔でボールを追いかける参加者たち

 佐々木さんは「ディズニーとのプロジェクトは昨年に続いて2年目。非常に好評をいただいています。これからのテーマは『拡大と日常化』。そういったものにトライしていきたい」と、2030年に女子の登録者を20万人にする目標を掲げました。

 そのためにはまず、サッカーをやったことがない人にサッカーを試してもらわなければ。そのきっかけづくりのためのディズニーというわけなのです。

「とりあえず」から人生が変わるかも

 きっかけは何であれ、とりあえず、やってみる―。この話を聞いて思い出したのは、2022年のサッカー・カタールW杯で、史上初めて男子のW杯に女性審判として参加した山下良美さんのことでした。山下さんは、お兄さんがサッカーをやっていたのを見て、女子サッカー選手になったそうですが、その後、審判の道に進んだのは、意外にも「大学のサッカー部の先輩に誘われたから」だそうです。

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カタールW杯で審判の仕事をする山下良美さん

 それまで審判を意識したことはなく、どちらかといえば、やりたくなかったそうですが、断る理由も見つからず、「とりあえず、やってみよう」と始めたそうです。しかし、それが今や日本を代表する審判として、世界で活躍しているのですから、人生は分からないものですね。「とりあえず、やってみたことで、私の人生は大きく変わりました」という山下さんの言葉が印象的でした。

参加した子が将来、なでしこ戦士に?

 さて、今年は女子W杯の開催年。今月20日にオーストラリアとニュージーランドの共催で開幕します。なでしこジャパンは22日にザンビアと初戦を迎えますが、果たして、2011年以来の世界一となるのでしょうか。健闘を期待しましょう。

 子どもにとって、何が人生を変えるきっかけになるかなんて、分かりません。今回、参加した子どもたちの中から、将来、なでしこジャパン入りする選手が出てくるかもしれないと思うと、夢が膨らみます。

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将来のなでしこジャパンの選手になるかも?

 マジカルフィールドは全国各地で随時開催中。お子さんと一緒にサッカーをしてみたい方、また、興味のある方は日本サッカー協会の特設サイトをご覧ください。すてきな出会いが待っているかもしれません。

 「アディショナルタイム」とは、サッカーの前後半で設けられる追加タイムのこと。スポーツ取材歴30年の筆者が「親子の会話のヒント」になるようなスポーツの話題、お薦めの書籍などをつづります。

 

 連載「アディショナルタイム」の過去記事はこちらから読めます。

 

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  • ぽっちゃりママ says:

    娘と参加しました~🤭
    汗たっぷりかきましたが、楽しかったですよ~
    ちなみにプリンセスボールとディズニーTシャツはファーストタッチプレミアムじゃないともらえないと思います。確認してからがいいと思います。😀

    ぽっちゃりママ 女性
  • あず says:

    子供たちの楽しそうな顔がすごくいい❤️ ディズニープリンセスからサッカーに入る子がいても全然いいと思う。

    あず 女性 30代

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