「異次元の少子化対策」政府会議が初会合、しかし財源論は統一地方選後に先送り

坂田奈央 (2023年1月20日付 東京新聞朝刊)

表 政府が説明する「異次元の少子化対策」3本柱

 政府は19日、新たに設置した「こども政策の強化に関する関係府省会議」(座長・小倉将信こども政策担当相)の初会合を開き、岸田文雄首相が掲げた「異次元の少子化対策」の議論を始めた。児童手当などの経済的支援強化、幼児教育や保育などのサービス拡充、働き方改革が3本柱となる。3月末にたたき台をまとめるが、財源の議論には踏み込まず、春の統一地方選後に先送りする。

3本柱で「かつてない大胆な対策」

 「少子化を解決することは最も大切な未来への投資だ。かつてない大胆な少子化対策に関するたたき台を作りたい」。小倉氏は会議でそう力を込め、従来とは一線を画す対策に踏み込む姿勢をアピールした。

【経済的支援強化】児童手当の拡充

 経済的支援の中心となるのが児童手当の拡充だ。現在は2歳までが1万5000円、3歳から小学生までが1万円(第3子以降は1万5000円)、中学生が1万円で、所得制限がある。予算規模は総額2兆円に上る。

 拡充論では高校生までの対象拡大や多子世帯への上乗せ、所得制限の見直しなどの意見がある。政府の有識者会議「全世代型社会保障構築会議」の清家篤座長は19日の関係府省会議に出席し、「子育て世代の分断を生じさせない視点」の必要性を訴えた。

【サービス拡充】保育士の処遇改善

 サービスの拡充では、保育士の配置基準見直しや処遇改善といった長年の課題解消が期待されている。ゼロ~2歳に焦点を当てた支援や事業などの拡充も重要な対策として議論する。

【働き方改革】長時間労働の是正策

 育児休業制度の強化など働き方改革では、第2子以降の出生割合や女性の就業継続に関わる男性の家事・育児時間が国際的に低水準であることを踏まえ、長時間労働の是正策や育休取得の促進策などを検討する。

「財源の議論は政策の範囲が狭まる」

 ただ、3本柱に沿って議論する少子化対策の方向性は、昨年末の全世代型社会保障構築会議の報告書に盛り込まれている。これまでとは異なる大胆な対策となるように給付やサービスを拡充できるかどうかは予算の規模によるが、関係府省会議では財源の議論はしない。

 渡辺由美子・こども家庭庁設立準備室長は記者団に「財源の議論をし出すと考えるべき政策の範囲が狭まる。財源論はいったん置いて考える」と話した。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2023年1月20日

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