〈中倉彰子さんの子育て日記〉70・家族で対局!

(2018年12月21日付 東京新聞朝刊)

中倉彰子さんの子育て日記

 最近は、野球やサッカー、カードゲームに夢中の末っ子のシン。将棋熱は冷めていましたが、毎年参加している大きな子ども将棋大会があることを伝えると一変。タブレット端末を使い、ネットでの対局に参戦したり、「ママやろう!」と私をお風呂上がりに誘ったりと、大会に向け、少しずつ練習するようになりました。

 シンは、局面の良い時は早指しでバンバンと手を進めるのですが、悪くなると急に「うーん」と考え出すところがあります。子どもにはよくあることで、私は「悪くなってから考えても遅いんだよ」とアドバイスしました。でも、なかなか直りません。

 先日、私とシンがリビングのテーブルで将棋を指していると、長女のマイも久しぶりに興味が出てきたのか、シンとマイの対局が始まりました。経験の差から、やはりシンが優勢に。そこでマイは、プロ棋士のパパに助っ人を頼みました。

 選手交代でたちまち逆転され、シンは「え?」という表情。そこでパパから提案がありました。「盤をひっくり返すか?」

 羽生善治竜王は昔、ご家族で対局する時、羽生さんが必勝になると、将棋盤の向きを逆にして、そこから対局を再開。また優勢になると、もう一度入れ替える、という遊びをされていたと聞いたことがあります。

 パパの提案に、シンは「うん!」と喜んで盤を逆向きにして、反対側から対局を始めました。目の前にはたちまちシンに優勢な局面が現れ、喜んで指していましたが、またもやパパが逆転し、ひっくり返す。そんなことを繰り返し、シンも楽しそう。

 マイが加わったことで、ちょっと和やかな将棋になりました。たまにはこんな遊び方もいいかもしれません。

 さて、迎えた大会当日。久しぶりにシンと私の2人で1時間以上かかる会場まで、電車で出かけることになりました。

 途中でお弁当を買ったり、お菓子を食べたりと、なんだかデートみたいです。こうやって息子と2人で出掛けることもこれから少なくなっていくのかな、と思うとこの時間も大切に思えてきます。

 会場についてからの話は次回-。シンの大会結果はどうだったでしょうか?(プロ棋士)

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