川口いじめ訴訟 市が565枚の記録を一転、開示へ 「不開示に違法性があった」

森雅貴 (2019年5月16日付 東京新聞朝刊)
 埼玉県川口市の市立中学校でいじめに遭い不登校になった元男子生徒(16)が、自分のいじめに関する情報の開示を市教委に求めたのに対し、多くの文書が開示されなかった問題で、市が不開示処分を取り消し、開示することを新たに決定したことが15日、分かった。元生徒は不開示処分の取り消しや損害賠償などを求める訴訟をさいたま地裁に起こしており、この日の第2回口頭弁論で市側が明らかにした。
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川口市教委が開示せず、埼玉県教委への開示請求で出てきた文書=一部画像処理

元生徒が求めた文書の訂正も認める

 元生徒側によると、2018年1月、市の条例に基づき、いじめに関する記録の開示を請求したが、54枚しか開示されず、ほかにどんな文書があるかも明示されなかった。元生徒は開示があまりに少ないと感じ、市教委から送られた文書の開示を、県教委にも請求。すると、別の文書103枚が開示され、市教委が一部しか出していなかったことが判明した。

 市側は不開示の理由を「いじめを調査する第三者委員会にかかわるため」などとしていたが、今月13日付で不開示処分を取り消し、154件、計565枚を開示や部分開示とした。「不開示処分の際に理由を記載しなかったなど不備があったため」としている。

 市教委の担当者は本紙の取材に「処分に違法性があった」と認めた。 

 また、元生徒側は昨年1月に開示された文書に多くの虚偽があるとして、訂正を要求。市教委はいったん訂正を決めたものの、後に方針を変え、不訂正とした。この処分についても元生徒側は裁判で取り消しを求め、市教委は13日付で取り消した。

損害賠償については争う姿勢 裁判継続

 元生徒が求めた取り消しはすべて認められた。損害賠償については市が争う姿勢で、裁判は継続される。

 閉廷後、元生徒の母親は「1年前から問題点を指摘してきた。裁判までしないと情報を正しく開示しない川口市の行政には大きな問題がある」と憤った。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年5月16日

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