文科省、川口市教育長を異例の呼び出し 「いじめ防止法に欠陥」主張で”法の順守”を指導

(2019年10月16日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
 埼玉県川口市がいじめ被害を訴える元生徒から起こされた裁判で先月、いじめ防止対策推進法に「欠陥がある」と主張したことについて、文部科学省が市教育長を呼び出し、法を守るよう指導したことが同省への取材で分かった。文科省はこのいじめの件で市教委に再三指導を繰り返してきたが、トップの教育長を呼び出したのは初めて。

訴訟で「いじめの定義が広すぎ。非難すれば被害者に」

 いじめ被害を訴える元市立中学男子生徒(17)は、学校や市教委がいじめ防止対策推進法に基づいた対応を取らなかったため、不登校が長引いたとして市に損害賠償を求めている。

 これに対し市は、9月18日にさいたま地裁で開かれた口頭弁論に提出した書面で、同法を「法律として整合性を欠き、教育現場に与える弊害を看過しがたい欠陥がある」と批判。法のいじめの定義が広すぎるため「苦痛を受けたと声高に非難する者が被害者になり、精神力や社会適応能力の高さなどから相手を非難しない者が加害者にされる」と主張した。

文科省「法をどう考えるのか」教育長「本心ではない」

 文科省は、法に従うべき行政が裁判の場で法に「欠陥がある」と主張したことを強く懸念。「裁判の内容に口は出せないが、法律をどう考えているのか確認する必要がある」と判断し、地方教育行政法に基づいて今月11日、茂呂(もろ)修平教育長を呼び出した。

 文科省によると、同省の松木秀彰生徒指導室長が法を順守するよう指導。茂呂教育長は「(法に)欠陥があるとは思っていない」「書面に書いたことは川口市の本心ではない」などと説明。「法律は守る」と話したという。

別の市立中のいじめ自殺についても、対応遅れを指導

 同市では先月、別の市立中学でいじめを訴えていた元男子生徒が自殺。文科省は、そのケースでも対応の遅れがあったとし、併せて指導した。

 松木室長は「今後しっかり対応していくか見ていきたい」としている。市教委は「担当者が不在」として取材に応じていない。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2019年10月16日

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