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川口いじめ訴訟、市は争う姿勢 元生徒の母「法廷で卒業証書を渡そうとするなんて」

浅野有紀、森雅貴 (2018年9月13日付 東京新聞朝刊)
 埼玉県川口市立中学校の元男子生徒が、いじめで不登校となったのに学校や市教育委員会が適切に対応しなかったため、不登校が長引いたとして、市に550万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が12日、さいたま地裁(岡部純子裁判長)であった。市側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。

ライン外し、引きずり…不登校11か月に

 訴状によると、元生徒は2015年4月、中学校に入学。サッカー部に入部直後の5月、同級生の部員が使っていた無料通信アプリ「LINE(ライン)」のメンバーから外された。16年3月には練習中に部員から襟首をつかまれ引きずられるなどした。

川口市いじめ問題の経過表

 部の顧問は再発防止を約束したにもかかわらず、対策を取らなかった上、元生徒の頭を殴る体罰を加えたこともあった。学校や市教委は、いじめを重大事態としてとらえず、元生徒に示した支援体制も現場の教員とは共有しないなど不適切な対応に終始。そのため、いじめも継続したという。

 元生徒は学校への信頼をなくして4回の不登校を繰り返し、その期間は計11カ月弱に及んだ。卒業式にも出席できず、大きな精神的苦痛を受けたとしている。

調査委員会は7つのいじめを認定

 市教委が設置した第三者調査委員会が今年3月にまとめた報告書では、元生徒が訴えた8つのいじめのうち、7つでいじめが認定されている。

 口頭弁論後、元生徒の母親は報道陣の取材に「どう争うかをはっきり答えてもらえず、憤りを感じる」と話した。

写真 口頭弁論後に「市側は誠意のある対応をしてほしい」と話す原告の母親(手前)

口頭弁論後に「市側は誠意のある対応をしてほしい」と話す原告の母親(手前)

「これ以上、息子を傷付けないで」

 この日の口頭弁論で市側は、元生徒が受け取れなかった卒業証書を代理人の弁護士に手渡す提案をしたが、原告側は受け取らなかった。

 口頭弁論後、元生徒の母親は報道陣の取材に対し「あの場で卒業証書を渡そうとするなんて信じられない。これ以上、息子を傷付ける対応は避けてほしい」と憤りを見せた。母親によると、元生徒は訴訟へ向け「(市側は)うそはつかないでほしい」と話していたという。