コップを逆さまにしてもこぼれない!水の不思議を体感しよう〈藤嶋先生と家でできる科学実験・中〉
石川修巳 (2020年4月4日付 東京新聞朝刊)
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、外出の自粛が求められ、休校が続く地域もありますが、身の回りの物を使って家での実験を楽しんでみませんか。「良い本を読もう」を東京新聞で連載した川崎市名誉市民の科学者、藤嶋昭さん(78)=中原区=に教わる、家でできる科学実験の〈中〉は、水が持つ性質を体感できます。
紙で押さえながら逆さまに…水が宙に浮いた!
水をなみなみと注いだコップをひっくり返すと、水はバシャッとこぼれてしまいます。けれども、紙を手で押さえながら、ゆっくり逆さにすると…。今回は、水が宙に浮いているように見える科学実験です。
「私も、自宅キッチンでやりました。これもまた、面白いですよ」と藤嶋さん。材料には、ふちが平らな同じコップ2個と水、コップの口よりもやや大きい紙を使います。
まず、水を入れたコップに紙を載せます。水が漏れないように手で押さえながら、コップを逆さにすると、紙から手を放しても、水は下に落ちません。なぜでしょうか。
これは、水の持つ「表面張力」という力と、空気が紙を下から押す力によって、水がこぼれないように支えているからです。水は形が変わりやすいので、1枚の紙が、下から押す力を均等にする役割を果たしています。
表面張力と大気圧 コップ2段重ねにも挑戦だ
次に、水を入れたコップの2段重ねに挑戦です。水をいっぱいに入れたコップを用意し、そこに、紙で水がこぼれないように逆さにしたコップのふちと、もう一方のコップのふちをぴったり重ね合わせます。2つのコップを押さえながら、間に挟んだ紙を静かに引き抜くのです。
これも、水の表面張力と空気中に働く大気圧という力がもたらす不思議。表面張力がコップの間にあるわずかなすき間をふさぎ、外側からは大気圧に押されているので、水がこぼれないというわけです。
「科学の面白さは、自分でやってみないと分かりません」と藤嶋さん。東京新聞川崎支局でも挑戦したところ、最初は失敗して、床が水浸しに。水がこぼれてもいいように、空いた皿の上などで実験するようお勧めします。
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