オンライン授業のキーマンは元SEの事務主事 久喜市の栢間小、ICTでバックアップ「先生の負担を軽くできる」

(2020年7月12日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
 新型コロナウイルスによる緊急事態宣言で小中学校が休校となる中、久喜市立栢間(かやま)小学校で行われたオンライン授業。担任の先生と各家庭の子どもたちが双方向でつながる学びを技術面で支えたのが、栢間小の事務主事、安部友輔(ゆうすけ)さん(31)だ。

「ICTで先生の負担は軽くできる」と話す安部友輔さん=いずれも久喜市立栢間小学校で

卒業式の練習ができる動画

 初めての試みで、保護者から「つながらない」と電話がかかってきたり、担任と児童が同時に動画を見た時に音声が流れなかったり。次々に起きる事態に一つ一つ対応した。

 3月には、突然の休校で卒業式の練習ができなくなったため、6年生向けに式の流れの紹介や合唱曲のパートごとの動画を小学校のホームページで見られるよう先生とともに整備。子どもたちが自宅で練習できるようにした。ただ、安部さんは「技術的に高度なことは全くしていないです」と事もなげに言う。

 普段の仕事は、教職員の出張費や休暇などの事務管理、学校の修繕手続きなど総務や財務がメイン。情報通信技術(ICT=Information and Communication Technology)の課題で頼られた理由は、異色の経歴にある。

コロナ禍で求められた経験

 大学院修了後、ベンチャー企業でインフラ企業のシステム開発に携わった。3年間、充実した日々を過ごしたが、多忙だったこともあり将来を考えて転職を模索。養護教諭の妻から事務職員という選択肢を提案され、就職するきっかけになった。

 システムエンジニア(SE)の経験が生かせると期待したが、実際になってみると求められるのは、間違いのない正確な事務処理。当然と思いつつも「自分の存在価値があるのだろうか」と思い悩んだ。

 ただ、先生と関係を築く中で、徐々に「パソコンの使い方を教えて」と質問を受けるようになり、ワードやエクセルなどの操作方法を説明する機会も増えていった。コロナ禍でのオンライン授業の実施は、安部さんがいるという安心感が後押しになった。

会計報告システムも試作

 「ICTで先生の負担は軽くできる」。教諭とは違う視点で学校を見ていてそのことに気付く。コロナ禍で子どもたちの学習のICT活用は急速に進みそうだが、教諭の業務ではあまり注目されていない。早速、学級費の年度ごとの出納帳の項目をチェックすれば学期ごとの会計報告が自動的に作成されるシステムを試作した。これまでは2つを別々に作らなければならなかった。

 アイデアはどんどんわいてくる。ICTも時代とともに変化し、より誰もが扱いやすくなっている。安部さんは「仕組み作りができる教職員が増えれば、さまざまな作業の効率化や軽減になる。教職員同士で議論しながら創意工夫もでき、子どもたちのプログラミング教育にもつながる。そうした動きを広げていきたい」と話す。

安部友輔(あべ・ゆうすけ)

 1988年、大宮市(現さいたま市)生まれ。私立大大学院修士課程で離散数学を学び、ベンチャー企業に就職。2016年4月から久喜市立栢間小学校で事務職員として勤務する。グーグルのアプリの校務面での活用を検討するため、久喜市教育委員会が立ち上げる予定の「未来の公教育研究委員会」のメンバー。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年7月12日

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