普通と逆の入学式 和光小学校は子どもが主役 ユニークな教育を追うドキュメンタリー映画

藤原哲也 (2020年12月17日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
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映画「あこがれの空の下」から。3年生の授業シーン

 子どもの自主性を尊重したユニークな教育方針の私立和光小学校(東京都世田谷区)に密着したドキュメンタリー映画「あこがれの空の下〜教科書のない小学校の一年〜」が19日から東京・渋谷のユーロスペースで公開される。のびのびと育つ子どもたちと、それを見守る教員たちを通して、あるべき教育の姿を問う作品だ。 

「あこがれの空の下」12月19日公開

 ある日の3年生の授業。教科書は使わず、先生が黒板に書かれた物語を読むと、子どもたちは疑問や意見を次々に口にする。先生は結論的なことは言わず、交通整理をするのみ。やがて子どもたちは知らず知らずのうちに物語を深く読み込んでいく−。

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国語の授業で先生が読む物語に聞き入るこどもたち

 テレビドキュメンタリーなどを手掛ける都内の制作会社「テムジン」の増田浩(55)と房満満(ぼうまんまん)(31)が共同監督を務め、2018年春から1年間撮影した。主に両監督がカメラを手に計100日ほど学校に通い、総撮影時間は150時間に及んだという。

教育は誰のためにあるのか

 1933年の創立以来、教育理念である「子どもが学校の主人公」を日々実践する同校。増田監督が魅力を感じたのは、独特の入学式の話を聞いたことだった。壇上に新入生、教員や来賓は下にいる。実際に撮影で訪ねてみたら「これで心臓をわしづかみされた。『教育は誰のためにあるのか』を考える上ですごく象徴的」と話す。

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運動会のリレーのひとこま。他の学校にありがちな「行進」や「来賓のあいさつ」などは一切ない

 沖縄をテーマにした伝統の総合学習では、6年生の学習旅行に同行。生存者から戦争体験を聞くだけでなく、米軍関係者を親に持つ小学生と交流するなど、多様な価値観を学ぶ姿を映す。子どもたちの反応もさまざまで「長い目での成長を見詰める学校の一貫した姿勢がある」と解説する。

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撮影の様子を振り返る増田浩監督=東京都渋谷区で

公立学校でもできないことはない

 増田監督の中では「公立校でもできないことはない」との思いがある。「いつかこの映画の内容が(どの学校でも)普通になって『つまらない』といわれる社会になるのが理想」

 今後、各地で自主上映会を開いていく予定。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年12月17日

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