性暴力やいじめから子どもを守る人権教育「CAP」千葉市が導入 教員のわいせつ事件受け

太田理英子 (2021年1月7日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
写真

親戚からの嫌がらせに対応する男児を演じる「CAPグループ千葉県連絡協議会」のメンバー(中)=千葉市立寒川小学校で(寒川小提供)

 全国で教員による子どもへのわいせつ行為やセクハラが後を絶たない中、千葉市の小中学校で、子どもに自分の安全や尊厳を守る方法を学んでもらう取り組みが始まった。いじめや虐待を含むあらゆる暴力防止を目指す米国発の人権教育プログラム「CAP(キャップ)」を活用。特に身近な人からの性被害は周囲に訴えにくいとされ、SOSを発する力を身に付けてもらう。 

CAPとは

Child Assault Prevention(子どもへの暴力防止)」の略で、子どもがいじめや虐待、性暴力などさまざまな暴力から自分を守るための人権教育プログラム。子どもの発達段階に合わせ、寸劇などを交えて具体的な対処方法を学ぶ。1970年代に米国で誕生。日本には85年に紹介され、養成を受けたグループが各地の学校や保育園などで実施している。

「嫌と言う、逃げる、誰かに相談する」

 「『嫌!』っていう言葉は、自分の権利を守るために大切な言葉なんだ」。昨年12月上旬、千葉市立寒川小学校で、人権意識の育成に取り組む「CAPグループ千葉県連絡協議会」のメンバーが5年生の児童に語り掛けた。

 CAPでは「安心」して「自信」を持ち、「自由」に生きる3つの権利の大切さを掲げる。暴力は人権侵害とし、「嫌と言う」「逃げる」「誰かに相談する」の3つの対処方法を学んでもらう。寒川小の児童たちは、同級生からの嫌がらせや不審者と遭遇した場面を想定し、ロールプレイング形式で対応を体験した。

信じてくれる人に会えるまで話し続けて

 小学生の男児が親戚の男性からキスを迫られ、口止めされる場面も設定。協議会メンバーは同性愛自体はおかしくないとした上で、「好きな人同士じゃないので、これは性暴力。自分が安心できない秘密は守らなくていい」ときっぱりと断る様子を演じた。児童らには、被害に悩む友人に付き添って担任に相談する練習をしてもらい、「信じてくれる人に会えるまで、あきらめずに話し続けることが大事」と呼び掛けた。

 2019年12月、教え子7人に対してわいせつ行為を繰り返していたとして、千葉市立の別の小学校の元教諭の男が強制性交などの罪で懲役14年の判決を受けた。事件を受け、千葉市教育委員会は外部識者による対策検討会を設置。被害が数年にわたり発覚しなかった反省から、校内の死角点検などに加え、CAPを使った人権教育を導入した。

「あなたは悪くない」のメッセージを

 CAPは子どものほかにも教員、保護者向けのプログラムもそれぞれあり、2020年度は寒川小と中学校1校でモデルとして実施。千葉市教委は2021年度以降に実施校を増やすといい、担当者は「被害者だけでなく、誰もがあらゆる暴力の加害者や傍観者にもならず、助け合えるようになれば」と期待する。

 協議会メンバーの金田奈津子さんは「子どもへの暴力は圧倒的な力関係の中で起きる特性があり、子どもは自分に落ち度があると思いやすい」と指摘。「子どもには何が暴力なのかを知ってもらい、誰かに相談する大切さを繰り返し訴えていくことが大事。子どもが声を上げたら、周囲の大人は『あなたは悪くない』というメッセージを伝えてほしい」と話す。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年1月7日

すくすくボイス

この記事の感想をお聞かせください

いただいた投稿は、東京すくすくや東京新聞など、
中日新聞社の運営・発行する媒体で掲載させていただく場合があります。

あなたへのおすすめ

PageTopへ