モンテッソーリ教育を家庭で取り入れるヒント 大人が困る行動は成長のきっかけ

(2021年2月12日付 東京新聞朝刊)
 将棋の藤井聡太二冠(18)も幼稚園の時に受けたことで知られる「モンテッソーリ教育」。大人が子どもの「やりたい気持ち」をタイミングよく捉え、「自分でできる力」を伸ばしていくのが特徴だ。コロナ禍で子どもと家で過ごす時間も長い今、家庭で取り入れられる考え方を紹介する。

図解 モンテッソーリ教育を家庭で実践する際のポイント

わざとコップをひっくり返す理由

 子どもがコップをわざとひっくり返したり、料理中に台所に入ってきたり。やめなさいと言っても聞かず、何度も繰り返すのでイライラする…。

 子どもが小さいうちは、こうした場面によく遭遇する。モンテッソーリ教育では、「水を注いでみたい」「親が台所で何をしているか見たい」という子どもの関心の表れとみる。

 大阪府茨木市でこの考え方を取り入れた料理教室「こどもキッチン」を開く石井由紀子さん(51)は「大人が困ると感じる行動は、子どもの成長のきっかけでもあることが多い。うまく時機を捉えれば、子どものできることが増え、大人の側も楽になれる」と話す。

「やりたい」に向き合い、把握する

 家庭では親がどのように子どもの「やりたい」と向き合い、成長につなげるか。石井さんは、まず子どもをよく見て、今、何に興味があるかをしっかりと捉えるよう呼び掛ける。「大人がいいと思うことを教えようとして、子ども不在にならないように」

 子どもの「やりたい」を把握したら、やりやすい環境を整えよう。小さい手でも使いやすい道具、背丈に合った台などを用意し、ゆっくりと手本を見せる。「小さい子は見たままを再現する能力が高いが、大人の速度だと動きを捉えられない」。言葉で説明せず、動きで見せることが大切だ。

先取りせず見守り 過剰に褒めない

 「やってみる?」と聞き、子どもがうなずいたら、子どもが納得のいくまで繰り返すのを黙って見守る。「大人は失敗させまいと、先取り、中断、肩代わりをしがち。口出しや手出しをした分、子どもは集中できなくなる」

 最後は、できたことを認めてあげよう。石井さんは「子どもにとって、できたこと自体が最大の喜び。過剰に褒めず『できたね』くらいで十分」と話す。

仏の伝統校に密着したドキュメンタリー映画「モンテッソーリ 子どもの家」 19日公開

 ドキュメンタリー映画「モンテッソーリ 子どもの家」が2月19日から全国公開される。フランスで最も古いモンテッソーリ学校の2歳半~6歳のクラスに2年以上密着し、子どもたちの成長や先生の関わりを収めた。

 2児の父でもあるアレクサンドル・ムロ監督(51)は「子どもは、親を助けようという気持ちが強い。ニンジンの皮をむいたり、戸棚の中を片付けたりすることもすごく好き」と実感を込めて話す。「大人が『~しなさい』と言わないようにすればするほど、潜在的な力を引き出せるし、子どもはできるようになる姿を見せてくれる」

 上映館は映画の公式サイトから確認できる。

写真

映画「モンテッソーリ 子どもの家」の一場面 (c)DANS LE SENS DE LA VIE 2017

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