不登校の子、病気や発達障害が潜んでいることも 個々に応じたサポートを

長田真由美 (2021年5月28日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる

不登校の先に

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「リラックスして過ごせる場所があることが大事」と話す関正樹さん=岐阜県瑞浪市で

 体や心の病気、発達障害といった子どもの特性が、不登校に関係している場合がある。適切な支援や配慮があれば、また行けるようになることも。体の症状があるときは医療機関を受診するなど、子どもの状態をよく見て対応することが大切だ。 

起立性調節障害、中学生の1割に

 朝、起きようとすると目まいがする…。北海道内の大学に通う男性(18)は、そうした日が続いていた中学2年の秋、無理をして学校に行って教室で倒れた。かかりつけ医に相談すると、起立性調節障害(OD)と診断された。

 ODは、自律神経がうまく働かず、脳に十分な血液が行き渡らないことで、立ちくらみや目まい、朝起きられないなどの症状が出る病気。血圧を安定させる薬を服用したり、規則正しい生活を心掛けるなど日常を工夫したりすることで回復を図る。日本小児心身医学会によると小学生の5%、中学生では10%にみられ、不登校の約3~4割にODが関わっているとされる。

 男性の症状は重く、1年ほどは、ほとんど寝てすごしたという。「進学できるのか、働けるのかと焦りが募った」。体調が落ち着いた中3の終わりごろから、母親とドライブや散歩などに出掛けるように。高校は通信制に進み、大学では経営や情報を勉強する。「時間がたつにつれて症状が少しずつ良くなった」。今は、同じように苦しむ人の力になりたいと、自身の経験を会員制交流サイト(SNS)で発信している。

「頑張りをねぎらい、共感するプロセスが大事」

 不登校に詳しい大湫(おおくて)病院(岐阜県瑞浪市)の児童精神科医、関正樹さん(43)は「ODは朝起きられないことで、怠けていると誤解されがち」と指摘。学校になじめないなどの問題が重なって、ODの治療と心理的な支援の両方が必要になる場合もあるという。

 関さんによると、不登校の中には、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)、読み書きなどが難しい限局性学習症(SLD)などの発達障害があると考えられる子もいる。多くは、いじめなど人間関係につまずいたり、学習についていけなかったりすることがきっかけだ。また、一定の配慮を必要とする「境界知能」の子は、ちょっと頑張れば自力でできると誤解されているケースが多く、苦労や我慢を強いられ続けた結果、疲れてしまって学校に行きづらくなることがある。

 「個人に応じた配慮は難しい」という学校もあるが、「それでは、こぼれ落ちそうな子を救えない」と関さん。例えば、耳で情報を聞き取るのが苦手な子は、文字ベースで伝えるなど、何をすれば子どもに伝わり、やる気が上がるか考える。「これまで理不尽に怒られ、自信を失っている子も多い。まずは頑張りをねぎらい、共感するプロセスが大事」と訴える。

医療機関の受診で子どもの特性把握を

 旭川医科大病院小児科の医師、鈴木菜生さん(46)らは2007~09年、同大の子どもの発達診療センターを受診した不登校の子80人を調査。それによると、初診時、睡眠障害や頭痛、腹痛などの症状がみられた子は9割ほどに上った。また、46人に発達障害があったが、約9割が診断を受けていなかった。

 一方で、治療や支援の結果、1年後も不登校だった割合は、発達障害がない子が42%だったのに対し、ある子は17%。登校先を通常学級から適応指導教室や保健室、特別支援学級などに変えることで登校できるようになる例も多かった。鈴木さんは「医療機関を受診すると、子どもの特性を詳細に把握でき、どのようなサポートが必要か、より細やかに検討できる」と説明する。

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