学校や児童施設のクラスターが急増 デルタ株は子どもにも脅威 15歳以下の感染場所「自宅」が最多

沢田千秋 (2021年8月30日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
 新型コロナウイルスのデルタ株が感染者の9割以上を占めるようになり、子どもの感染も増えている。デルタ株の感染力の高さに加え、大人の行動が子どもを危険にさらす側面もある。夏休みが終わり、教育の意義と感染対策どちらを優先するべきか、現場は難しい判断を迫られる。厚生労働省と文部科学省の方針にも矛盾が生じている。
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学校現場は1年以上、消毒など感染対策をしながらの運営だが、デルタ株の猛威でさらに難しい判断を迫られる=昨年8月、さいたま市立与野八幡小で

高齢者の減少傾向も一因だが…

 「デルタ株の流行以降、10代以下の感染者数は増加傾向にある」

 国立感染症研究所の脇田隆字所長は25日、専門家組織の会合後そう話した。東京都の感染者に占める10代以下の割合は29日は18.7%。半年前は1割前後だった。

 感染研によると、4月ごろから、全国で、感染者に占める18歳以下の割合が増え始めた。だが、64歳以下の感染者に占める割合でみると、増加は緩やか。24歳以下では割合に変化はなかった。「ワクチン接種で高齢者、中年世代の感染が半年前と比べ相対的に減少傾向にあることが、18歳以下の割合増加の一因」(感染研)と考えられ、特に子どもが感染しやすいわけではない。

児童福祉施設 8月は7月の5倍

 ただ、最近の感染状況をみると、デルタ株は大人だけでなく、子どもにも容赦がないとは言えそうだ。デルタ株登場までは、子どもはウイルスと結合する細胞表面の受容体タンパク質(ACE2受容体)の発現度が低いため、感染しにくいとの説もあった。

 実際、子どもの居場所でのクラスター(感染者集団)は増えている。幼稚園、小中学校、高校、大学や学習塾、部活動、寮などの学校・教育施設等では、8月は約240件発生。夏休み中にもかかわらず、7月の2倍近い。保育園や学童クラブなどの児童福祉施設も8月は200件以上で7月の5倍だ。

グラフ 1週間ごとのクラスター発生件数の推移

厚労省と文科省の方針に矛盾も…

 事態を受け、感染研実地疫学研究センターは教育機関等へ向けた提案書を作成。教職員や生徒らのワクチン接種や大学でのリモート授業などを積極的に推奨し「人の密集が過度になるリスクが高いイベント(文化祭、学園祭、体育祭等)」は延期や中止の検討を求めた。

 一方、文科省が全国の教育委員会などに出した20日の事務連絡には、運動会や修学旅行は「有意義な教育活動」とし、感染対策や保護者の理解を前提に「実施に向けて検討を行う」とある。感染研の提案と矛盾し、現場の混乱を招きかねないが、厚労省担当者は「こちらは感染対策の観点でまとめた。厚労省から文科省に情報提供し、実際の適用は現場で判断していただく」とにべもない。

大人からもたらされる感染リスク

グラフ 子どもの年齢別の感染場所

 自宅での感染対策も不可欠だ。厚労省の調査では、15歳以下の感染場所の最多は自宅だった。脇田氏は「大人の感染が増え、家庭内感染が増えている。大人の行動が子どもたちの感染に間違いなくリンクしている」と大人からもたらされる感染リスクを指摘する。

 繁華街に繰り出す人のうち40~64歳の割合が最も高い。「働き盛りで行動が活発な人は家族がいる人も多い。今どういう状況にあるか、わがこととして共有してもらうことが一番重要だ」と自制を呼び掛けた。

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