新学期のコロナ対応 千葉、埼玉、神奈川の各自治体の取り組みは? 

(2021年8月25・26・27日付 東京新聞朝刊)
 新型コロナウイルスの感染が子どもたちにも広がっていることを受け、各自治体の教育委員会が新学期の対応策を打ち出している。分散登校やオンライン授業を進める一方、事情のある子どもは登校させる対応を取る自治体もある。

千葉県 「心身への影響考慮」で休校はせず

 千葉県教育委員会は24日、高校や特別支援学校などの県立学校に対し、夏季休業終了後から緊急事態宣言期間中の9月12日まで、学年ごとの分散登校や時差通学、短縮日課などを取り入れる方針を発表した。休校としなかった理由について、県教委の担当者は「学びの機会を保障するとともに、長期休みによる心身への影響を考慮した」としている。

 全日制の高校では、1、2年生は学年ごとに隔日で交互に分散登校し、2週間で1週間分の時間割を完了させる短縮日課を実施。進学や就職を控える3年生は時差通学と短縮日課だけとする。授業動画を作成・配信するなどオンライン学習も取り入れる。9月13日以降は約2週間、全学年で時差通学や短縮日課とする一方、感染状況に応じて対応を検討する。

 特別支援学校、定時制・通信制の高校や中学校は、学校の特性や生徒らの状況に応じて時差通学などを実施する。

 文化祭や修学旅行などの学校行事は9月12日までは原則実施せず、可能な限り延期とする。既に準備を進めており延期が困難な行事は感染対策を万全にすれば実施を可能とした。

 部活動も9月12日まで原則実施せず、9月に開かれる公式大会に参加する部活動に限り、校内での練習や大会2週間前まで県内での練習試合を可能とした。(山口登史)

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年8月25日

埼玉県 夏休み延長・分散登校・オンライン授業…自治体で分かれる対応

 埼玉県内では、夏休みを今月末まで延長したり、分散登校やオンライン授業の実施を決めた自治体もある。

 三郷市やふじみ野市などは、小中学校の夏休みを31日まで延期することを決定。秩父市は25日に小中学校の始業式をしたが、26~31日を臨時休業とする。

 学校が再開してからの対応では、児童生徒が登校する日を分ける分散登校や、タブレット端末を使ったオンライン授業や課題に取り組む自治体がある。

 加須市の小中学校では始業式翌日の今月31日に通学班ごとに登校し、タブレット端末の操作を確認。9月1日から10日まで全員がオンラインで授業を受ける。市学校教育課の担当者は「対面授業をしたいが、県内では児童生徒も感染している。教室内で(生徒同士の間隔を)2メートル確保するのは難しい」と説明。家庭にWi-Fi環境がない場合は学校に登校してオンライン授業を受けるようにする。

 久喜市は今月31日から9月9日まで、16人以上のクラスは児童生徒を半数に分け、それぞれ1日置きに登校。登校しない日はオンラインで授業を受ける。ただ、オンラインでは集中しづらい子もいる可能性があり、市の担当者は「理解が定着しているかは注意深く見ていく」と話した。

 日高市も今月26日の新学期から9月10日まで、各クラスの児童生徒を半数に分けて1日置きの分散登校とする。登校しない日はオンライン授業をするか、タブレット端末を使った課題に各自で取り組むか、各校が選択する。また、保護者の都合などで自宅で過ごせない子どもは学校で受け入れる。

 川越市は今月31日から9月12日までを分散登校とし、それぞれ午前または午後に3時限ずつ授業を受ける。深谷市は今月27日から9月10日まで午前のみの授業とし、給食を食べて下校する。熊谷市は今月31日から9月17日まで午前のみの授業とし、同期間の給食は中止する。

 さいたま市は今月27日から9月12日まで、原則的に対面授業を行う。ただ、感染を避けるため登校を希望しない児童生徒にはオンラインで授業に参加できるようにする。子ども自身や家族が感染し、登校できない場合も参加できる。(大沢令、中里宏、久間木聡、寺本康弘、加藤木信夫、武藤康弘、渡部穣、前田朋子)

埼玉県内の主な自治体 夏休みや新学期への対応

【夏休み延長・臨時休業】

坂戸市、三郷市、越谷市、熊谷市、富士見市、ふじみ野市、秩父市

【分散登校・授業時間短縮】

川越市、坂戸市、東松山市、鶴ケ島市、日高市、入間市、春日部市、熊谷市、深谷市、ふじみ野市、白岡市、久喜市、杉戸町

【オンライン授業など】

日高市、越谷市、加須市、久喜市、白岡市、杉戸町、さいたま市

※各自治体への取材や発表に基づく。複数の対応をする自治体もある。

埼玉県立校は夏休み延長なし

 埼玉県は25日、夏休み終了後の県立学校の対応をまとめた。夏休みの延長や臨時休業はせず、再開後は9月12日まで分散登校とオンライン学習で対応する。

 県教育局によると、各クラスの児童生徒数を半分にするなどして互いの間隔を2メートル空け、合唱や調理実習、接触のある運動など感染リスクが高い活動は中止する。通学時の人混みを避けるため、始業時刻の繰り下げや短縮授業も行う。

 部活動は大会やコンクールに出場する場合を除いて平日の週2回、各90分以内とし、校外活動は禁止する。修学旅行や県境を越える遠足は延期・中止し、文化祭や体育祭などの行事は児童生徒と教職員のみで行う。

 また、県内の市町村教育委員会には、地域の感染状況を考慮した上で適切に対応するよう要請する。

 直近1週間(16~22日)に新型コロナウイルスに感染した県立高校の生徒は221人、教職員は13人だった。(飯田樹与)

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年8月26日

神奈川県 県立高校は週1~2回の登校 部活は原則中止

 神奈川県と県教育委員会は26日、新型コロナウイルス感染防止のため、県立高校などは週1~2回の登校とし、残りは原則オンライン授業とすることを決めた。空いた教室を使い、1つの教室に入る生徒を半減させる。期間は緊急事態宣言終了まで。

 期間中は部活動は原則中止とし、文化祭や体育祭などの校内行事も中止か延期とする。時差通学と授業時間の短縮はこれまで通り続ける。発熱などの体調不良がある場合は登校しないよう、強く呼びかける。黒岩祐治知事は「教育の質を守る観点から、一斉休校ではなく分散登校とした」と話した。

 また、ワクチン接種の対象になっていない12歳未満の子どもがいる家庭に、保育所や幼稚園、小学校を通じて抗原検査キットを配ることも決めた。体調不良の子どもを通園・通学させないよう求めるため。対象者は77万人。今後、通園していない子どもがいる家庭への配布方法を検討する。(志村彰太)

横浜市でも508校で分散登校

 横浜市は9月1~13日、市立学校508校で短縮授業に加え、分散登校を実施する。教室内の人数を減らして座席間の距離を確保するため、各学級を2つのグループに分け、児童生徒は1日おきに登校して給食を食べ、原則として午後2時半までに下校する。

 初日は2グループが時間差で登校して健康観察を行い、家庭学習用のタブレット端末を持ち帰る。2日以降、登校しないグループは自宅で学習動画やドリルなどを活用し、オンライン授業や課題に取り組む。環境が整っている学校は授業のライブ配信も行う。

 茅ケ崎市は予定通り31日に始業するが、9月3日までは午後の授業を行わない。小学校は給食を食べて下校、中学校は弁当を食べるか各校で判断する。寒川町も予定通り中学校は30日、小学校は9月1日に始業するが、12日まで午後の授業を行わない。

 秦野市は9月10日まで小中学校の授業を短縮する。小学生は給食後、中学生は昼食をとらず、ともに午後1時前には下校する。

 伊勢原市と真鶴町も9月10日まで、公立小中学校を午前中の授業とする。

 大磯町は、町立小中学校の授業時間を短縮し、給食や昼食後に下校する。

 二宮町は、町立中学校の夏休みを31日までに延ばす。小学校の夏休みは31日までで変わりない。小中学校とも9月1~10日は午後の授業をしない。(杉戸祐子、石原真樹、西岡聖雄)

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年8月27日

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