「人生の先輩」から中学生への特別授業が本になった 元アイドル、俳優… 「悩んでも大丈夫」

岩岡千景 (2021年9月3日付 東京新聞朝刊)
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2019年10月、中学校を訪れいじめについて話す俳優の春名風花さん=都内の公立中で

 元アイドルや俳優、編集者ら、多彩な職種の大人が人間関係や進路についての経験や思いを伝え、都内の公立中で行われてきた授業が、東京新聞をきっかけに「ミライを生きる君たちへの特別授業」(岩波書店)と題する本になった。「コロナ禍でさまざまな悩みを抱えた中学生に読んでほしい」と担当編集者は話す。

大木亜希子さん、原田朱美さん、春名風花さん、安田菜津紀さん、小島慶子さん  

 この中学校では、校外から招いた講師が中学生へお薦め本を必ず1冊紹介した上で、体験や思いを自由に語る授業を行ってきた。ネットやSNSが普及し、学校が生きづらい世界になる中、「どんなに悩んでも大丈夫と生徒たちに伝えたい」と始め、昨年までの3年間で15回を数えたという。

 2018年、岩波書店の編集者の山本慎一さんが、中高生向けの岩波ジュニア新書を本紙で紹介した。この寄稿を読んだ同校の教師が、山本さんをこの授業に講師として招待。授業の趣旨や内容に賛同した山本さんが、これまでの授業を中心に、同校で行われたほかの講演も加えて書籍にまとめた。

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本紙をきっかけに生まれた書籍「ミライを生きる君たちへの特別授業」

 書籍では元アイドルの大木亜希子さん、新聞記者の原田朱美さん、俳優の春名風花(はるなふうか)さん、フォトジャーナリストの安田菜津紀さん、エッセイストの小島慶子さんの5人が、大人になることへの不安や進路、いじめ、生きづらさなどをテーマに語っている。

 大木さんは「28歳になってライターという天職を見つけた」経験から「他人をうらやまないで、人と比べないで」と助言。春名さんは、いじめがテーマの本を多く挙げ、被害者を守るのが大切なのはもとより、加害者側の「心の問題にも働きかけて」と訴える。

 コロナでこの授業もできない状況が続くが、山本さんは「コロナ禍で先が見えず、大きくなっている中学生の不安をこの本で少しでも解消できたら」と話している。B6判、126ページ、1595円。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年9月3日

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