町田で小6女児が自殺 学校の1人1台タブレットがいじめの温床に パスワードは共通 「なりすまし」証言も
GIGAスクール構想の「先進事例」だった
女児の両親は学校側に、端末のチャット履歴について開示を求めていたが「履歴は見当たらない」と回答しており、いじめとタブレット端末の関連が、文科省の都教委、町田市教委への聞き取りで初めて明らかになった。
両親によると、児童同士がタブレット端末の画面上で女児の名前を挙げ「うざい」「お願いだから死んで」などと会話。女児もこれを見ていたという。
この小学校では、タブレット端末を2020年度までに全児童に配布していた。本年度から国が本格実施している「GIGAスクール構想」の先進事例としての位置づけがあったという。
萩生田文科相 「チャット機能で」と説明
萩生田氏は閣議後の記者会見で「児童のいじめの一部が端末のチャット機能を使って行われていた」と説明。「現実として学校現場での、こういったパソコン、タブレットを通じていじめが起きていたことは極めて残念な事実であり、事実関係を確認して全国の自治体に周知することがあればしっかりやっていきたい」との姿勢を示した。
文科省は今年3月、GIGAスクール構想の実施に先立ちルールとして「他人を傷付けたり嫌な思いをさせることをネット上に書き込まない」など18項目のチェックリストを作成。都道府県教委に通知している。
萩生田氏は女児の遺族が13日、文部科学省の記者クラブで会見したことを受け「外に向けてご両親は思いを発信せざるを得ないという判断に至ったのだと思う」とし町田市教委や学校に対し「ご家族の気持ちに寄り添い丁寧な対応をするのが大事だ」と強調した。
IDはクラスと出席番号、パスワードは123456789「容易に推測できた」両親が指摘
自殺した小6女児の両親によると、女児が通った小学校は、貸与したタブレット端末を起動する際のパスワードを「123456789」に統一し、IDは児童の所属学級と出席番号を組み合わせたものにしていたという。
両親が同級生らに聞き取ったところ、端末上での会話について「自分が書いていないのに勝手に書き込まれた」「書いていた内容を消された」など「なりすまし」の被害を訴える複数の証言があったという。
両親は「他人のIDを容易に推測できたため、なりすましが横行していたのではないか。学校の管理がずさんだった」と指摘する。
文部科学省情報教育・外国語教育課によると、端末には学業成績など個人情報も保存されるため、個々のIDとパスワードは本人と保護者、教員以外に知られないようにするのが基本という。端末の管理について、町田市教育委員会の担当者は本紙の取材に「調査中のため答えられない」と話している。
制限より見守りと早期対応の仕組みを
◇高橋暁子・成蹊大客員教授(情報リテラシー)の話
タブレット端末の使用ルールや利用制限はまちまちで、今回は履歴の管理・確認や子ども同士のやりとりにもっと目を配るべきだった。コロナ禍で十分な研修がないまま見切り発車し、教員間のリテラシーの格差、家庭環境の違いも目立つ。単に制限を厳しくするのではなく、子どものコミュニケーションを教職員が見守り、トラブルに早期に対応できる仕組みづくりが必要だ。
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町田市に住むものです。14年ほど前まで、他の市で小学校の教師をしておりました。
昔から、不幸にもいじめによる自殺者が出ると多かれ少なかれ、学校や教育委員会の自己保身や隠蔽が行われてきましたが、今回もそれと同じことが繰り返されています。
今回は、文部科学省の萩生田光一氏の発言を聞いていて、どれだけ、事前に「GIGAスクール構想」の内容が周知徹底されていたのか、疑問を感じざるを得ません。
次に校長の対応です。長年、ICT教育に携わってきた人間ならば、パソコンやタブレットの長所、短所はわかっていたにも関わらず、校内での教員の研修などがしっかり行わないまま、事が進まれたように思います。もっと、危険性に対する話し合いが校内で行われていたならば、未然に防ぐことが出来たのかも知れないです。ところが、意思の疎通がおざなりのまま、進められていったように感じます。校長がパソコンやタブレットに精通していたことによって、危険性に対する問題点を指摘することが出来なかったようにも思えます。ですから、「失敗を通して学べばよい」ということに対しても、誰も意見が言えなかったように推察できます。
それに、鳴り物入りで始まった研究ですし、文部科学省の指定校ということもあって、失敗ができない、大勢の先生方が研究授業を見に来られるということに対して先生方の準備やプレッシャーなども加わり、女児がいじめられていることを知っていても、適切な対応が出来なかったのではないかと思われます。もちろん、児童一人が命をなくしているのですから、そんなことは言い訳にもなりません。
もっと早く亡くなった児童のところに、萩生田光一氏、校長、副校長、加害者の保護者、加害児童がお悔やみに行き、大人が真剣に謝っている姿を加害者児童たちにその姿を見せるべきでした。その大人の姿を加害者児童たちが見て、自分たちは取り返しのつかないことをしてしまったことを反省することが、教育の姿だと思います。校長の言う「加害者児童が自殺するのでは」などという言葉は、自己保身にしか聞こえないように思えてしまいます。
本来ならば、職場で互いの知恵を出し合い、自由に物が言える学校にしていくことが、校長として大切な仕事の一つだと思うのですが、自分たちのやっている研究を全国に先駆けて発表していくことによって、児童一人ひとりに対応ができずに女子の命が失われたならば、こんな悲劇は二度と繰り返してはならないことを全国の学校関係者が学ばなければならないことだと考えます。