原爆投下から77年、朗読劇で語り継ぐ戦争体験 「柏・麦わらぼうしの会」ウクライナの惨状も台本に

牧田幸夫 (2022年8月2日付 東京新聞朝刊)
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自主公演に向けて練習する千葉県の柏・麦わらぼうしの会のメンバー

8月6日に柏市民文化会館で

 朗読劇を通して戦争体験を語り継ぐ千葉県の「柏・麦わらぼうしの会」(井野口典子代表)の第23回自主公演「この子たちを忘れない2022 -1945ヒロシマ・ナガサキ原爆の記憶-」が6日、柏市民文化会館で開かれる。ロシアがウクライナへ軍事侵攻した今年は、戦争を今の出来事としてとらえ、平和の尊さを訴えていく。

ウクライナと大戦の悲劇が重なった

 会は1995年に「戦争や原爆の体験を未来に伝えていこう」と母親らが中心となって活動を始めた。現在の会員は40~70代の女性18人。劇のオリジナル台本は、例年、被爆者が残した手記や体験談を基に練り上げるが、今年は反戦の詩など手記以外も多く採用した。

 戦火のウクライナで起きている惨状に会員たちは胸を痛めた。爆撃の犠牲になった子どもたち、地下鉄の通路や防空壕(ごう)で出産する妊婦―。ニュースで流れる衝撃的な映像は、手記などで知った先の大戦の市民の悲劇と重なったという。

 演出担当の正木容子さんは「今と77年前をどうつなげるかにこだわった。戦争の悲惨さをより感じてもらうため、ウクライナと似た状況の場面を拾い集め、台本に取り入れた」と説明する。

 その一例が、原爆詩人・栗原貞子の代表作「生ましめんかな」。原爆が投下された後、負傷者がうごめく地下室で妊婦が突然産気づいた。居合わせた助産師が自身の大けがを顧みず、無事赤ちゃんを取り上げるが、それと引き換えに命を落とした、という内容で、実話に基づくとされる。井野口代表は「朗読劇を通し今と過去の戦争を知ってほしい。戦争の上に平和は成り立たない」と力を込める。

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台本の読み合わせをする柏第七小の児童=いずれも柏市で

「平和について考えて」児童8人が朗読

 会は年に10回ほど柏市内の小学校で上演を続けており、それが縁で今回、柏第七小学校の児童8人の出演も決まった。第2部で「へいわってどんなこと?」「明日が来なかった子どもたちから、今を生きるあなたへ」の2つの作品をピアノ演奏付きで朗読する。

 5年生で最年長の土谷幸平さんは朗読劇に参加した理由を「子どもたちが犠牲になっているウクライナの現状を知ってほしい」と話し、「多くの人に平和を考えてもらえるよう気持ちを込めて読みたい」と稽古に励んでいる。

 開演は午後2時。入場には予約が必要。チケットの問い合わせは同会事務局=電話070(1446)7592=で受け付けている。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2022年8月2日

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