仮想空間で不登校や外国の子どもたちの学習支援 都教委、新宿区で12日に先行して開校

浜崎陽介 (2022年12月9日付 東京新聞朝刊)

都教委がオンライン上に設置した「バーチャル・ラーニング・プラットフォーム」=都庁で

 東京都教育委員会は学校生活に困難を抱える小中学生が、オンライン上の仮想空間(メタバース)で学習支援を受けられる学び舎「バーチャル・ラーニング・プラットフォーム」を開設する。対面でのコミュニケーションに抵抗がある子どもたちの居場所作りが狙い。12日、先行して新宿区の子どもたちに向けたデモ版を立ち上げ、来年度から他の区市町村でも展開する。

アバターで入室 相談スペースも

 バーチャル教室は都が基本設計を作り、区などが運用する。利用が想定されるのは、不登校や外国から転入したばかりで日本語が不自由な小中学生。新宿区では、学校に行けない子どもたちの適応指導を行う区立教育センター「つくし教室」の子どもらに、教室に入るカギとなるアカウントを渡して招待。子どもたちは自身の分身「アバター」として入室する。

 仮想空間にある教室は3階層。1階は共用スペースでグラウンドや噴水広場がある。2階は日本語指導、3階は不登校支援のための学習フロアで、20~50席ある教室や一対一の相談スペース、交流スペースなどを設ける。各フロアの定員は100人。区の支援員もアバターとなり、ビデオ通話を使って学習サポートや子どもたちの相談に乗る。都も運営を見守るアバターを配置するという。

「学校に来られない子の学習を放っておけない」

 文部科学省の不登校に関する実態調査では、昨年度、都内の公立小中学校で不登校の子どもは約2万1500人で過去最多。同省の昨年5月の調査では、日本語指導が必要な公立小中高校生は都内で約4600人いた。また、都教委が都内の各自治体に行った聞き取り調査では、不登校の子どもは対面での交流を苦手とする子が多かったという。

 都教育庁教育政策課の担当者は「不登校にも多様な理由があるが、学校に来られない子の学習を放ってはおけない。最新の技術を活用して支援の手が行き届く状況がつくれれば」と話す。

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