電気とガスがなくてもご飯が炊けた 流山の中学で災害時を想定した調理実習 福島出身の家庭科教諭が提案

林容史 (2023年12月21日付 東京新聞朝刊)
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かまどベンチで沸かした湯にコメを入れる生徒=流山市で

 流山市立おおぐろの森中学校で、校内に設置されたかまどベンチを使った調理実習があった。災害時の停電やガス供給の停止を想定し、1年生約200人が、火でコメを炊いて食べる体験をしたり、マンホールトイレの使い方を学んだりした。

校内に10基の「かまどベンチ」

 おおぐろの森中学校は、つくばエクスプレス(TX)の沿線開発に伴う市内の人口増加を受け、流山市立おおたかの森中学校から分離して新設、2022年度に開校した。

 校内には、1人掛けのかまどベンチとマンホールトイレがそれぞれ10基ずつあり、水や食料の備蓄倉庫が整備されている。市内に70カ所ある指定避難所の1つで、災害時には約500人の避難者を受け入れることができる。実習は防災教育の一環で、避難所開設時に、生徒たちが設備を使えるようにと初めて実施した。

 家庭科の授業を利用して、1年生の6クラスが順番に、耐熱のビニール袋にコメと水を入れ、かまどベンチで沸かした熱湯に浸して炊き出しに挑戦した。また流山市防災危機管理課の職員が、マンホールトイレの仕組みや使い方を説明した。

生徒「避難した人を助けたい」

 生徒たちは「ご飯は少し柔らかいけど、おいしく食べられる」などと感想を話していた。実習に参加した高梨蓮さん(13)は「かまどベンチやマンホールトイレがあることは知っていたが、使い方は知らなかった。避難した人たちを助けたい」と話した。

 実習を提案した家庭科を担当する大河内敦子教諭は福島県いわき市の出身。「東日本大震災が発生した3・11から間もなく13年で、関東大震災から100年。今、防災についてきちんと学ばなければ手遅れになってしまう」と訴えていた。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2023年12月21日

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