9歳男児が職員の添い寝中に窒息死 川崎市の障害児支援施設 遺族が原因究明を求める「発見後に15分も放置」

大平樹 (2020年8月25日付 東京新聞朝刊)
子育て世代がつながる
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死亡した清水正和君=遺族提供

 川崎市中原区の障害児支援施設「川崎市中央療育センター」で知的障害がある男児=当時(9)=が短期入所中に死亡した2016年12月の事故を巡り、男児の遺族が24日、川崎市に真相究明を求める要請文を出した。川崎市は9月に検証委員会を開き、男児が死亡に至った経過や再発防止策の検証を始める。

2016年12月に発生 職員を書類送検、今年6月に不起訴

 遺族によると、死亡したのは、小学3年生だった清水正和君。施設に短期入所していた2016年12月26日早朝、布団の中で意識を失っているのを添い寝していた女性職員が見つけ、搬送先の病院で死亡が確認された。死因は窒息死だった。

 神奈川県警は業務上過失致死の疑いで女性職員を書類送検。横浜地検川崎支部は今年6月、嫌疑不十分で不起訴処分とした。

川崎市が検証委員会を設置し調査へ 来年度以降に報告書

 川崎市への要請後、市役所で記者会見した清水君の母(48)は「事実を解明して遺骨の前で報告したい。事故がなければ今ごろ元気に遊んでいたはず。なぜこんな目に遭うのか」と涙交じりに訴えた。

 施設は、川崎市が指定管理者制度で運営し、障害がある子どもが短期入所できる市内で唯一の施設。川崎市は医師や学識経験者らによる検証委員会を設置し、指定管理者や職員への聞き取りなどを通じて事故当時の状況を調べ、来年度以降に報告書をまとめる。

「うやむやになった真実を解明する最後のチャンス」遺族が会見

 「うやむやになった真実を解明する最後のチャンス」-。川崎市中央療育センター(中原区)で2016年12月に起きた清水正和君=当時(9)=の死亡事故を巡り、川崎市に検証を要請した遺族らは24日、市役所で会見し、来月から始まる市の検証の行方に期待感を示した。中央療育センターは今も障害児が利用することから「二度と同じような事件が起きないように」と再発防止も求めた。
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清水君の遺影(手前)とともに真相解明を訴える母=市役所で

背後から手足をからませたのは「身体拘束」では

 中央療育センターを運営する社会福祉法人が2017年に川崎市に出した事故報告書によると、清水君に添い寝していた職員は背後から手足をからませていた。会見で清水君の兄(26)は、障害者虐待防止法で正当な理由がない場合は禁止している「身体拘束」に当たると指摘。「なぜ無理に寝かせようとしたのか」と疑問を呈した。

 遺族らは捜査機関に死亡時の状況再現などを求めたが、果たされないまま職員は不起訴処分となった。今回の川崎市への要請では、倒れている清水君を職員が発見して15分間も放置した理由など、経緯の検証などを要請した。兄は「もうすぐ4年がたつ。疑問点を解明してもらえると信じている」と話した。

発生から3年半 市は「捜査状況を見守っていた」

 清水君は川崎区桜本で地域住民にも見守られながら育った。通っていた桜本保育園など地域の関係者も、住民グループをつくって市に真相解明を求めた。桜本保育園の園長の朴栄子(パクヨンジャ)さんは「何がどうなったのか分からないまま。障害のある子どもの権利がちゃんと守られているのか」と訴えた。

 川崎市の担当者は、3年半以上たって有識者による検証委員会を設置することを「捜査状況を見守っていた」と説明。遺族や市民グループの指摘も踏まえて、運営法人が出した報告書に問題点がなかったかどうか見直すという。

[元記事:東京新聞 TOKYO Web 2020年8月25日

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