子どものむだ毛処理の注意点 そる前後には保湿 除毛剤で皮膚トラブル、脱毛ではやけども… まずは気持ちをケア

長田真由美 (2022年7月22日付 東京新聞朝刊)

イラスト むだ毛の処理方法と注意するポイント

 海やプールの季節がやってきた。素肌を出すことも増える中、気になるのがむだ毛。処理方法は手軽なものから高額な脱毛処置までさまざまで、悩み始めの小学生には、親が気持ちに寄り添いながら教え、一緒に決めるといいようだ。一方、除毛剤による10~20代の皮膚障害が増加。正しい使用方法や知識が求められる。

カミソリで角質層を一緒にそると炎症に

 むだ毛を処理する方法は複数ある。カミソリや電気シェーバーで「そる」、ピンセットやワックスで「抜く」、除毛剤で「溶かす」など。さらに最近は、若い世代でも、エステティックサロンや医療機関で、脱毛することが増えている。藤田医科大ばんたね病院総合アレルギー科教授で、皮膚科が専門の矢上晶子さんは、「リスクもよく知った上で、自分に合った方法で処理してほしい」と話す。

 例えば、カミソリを使う時は、そる前に保湿しておく。肌表面の角質層を一緒にそってしまうと、乾燥して炎症を起こしてしまうからだ。そった後の保湿も重要。脱毛したい部分に塗って、一気にはがすワックスも前後のケアが大事だが、小中学生が最初から自分でするのは難しい。親が使い方を教えたい。

「溶かす」除毛剤 男性に多い皮膚障害

 「特に気を付けてほしいのが皮膚障害」と矢上さんは指摘する。近年、若者の除毛剤による皮膚障害が増えている。除毛剤は、毛の成分のたんぱく質を分解することで溶かす。全国の消費生活センターなどには、2017年度から5年間で、除毛剤などの相談件数が約1万5000件寄せられた。そのうち、体にけがや病気などの疾病となった危害情報は約1300件、半数が10~20代だった。

 目立つのが男性の皮膚障害だ。15~19歳は119件、20~24歳は143件といずれも女性を30件以上、上回った。異常を生じた部位は脚が97件、顔面が75件と続き、「ひげを処理するために除毛クリームを塗ったら発疹ができた」など、本来は使用してはいけない部分で使った事例も。「男子は人に言えず、女子よりも悩みが深いのではないか」と矢上さん。肌にかぶれやかゆみ、赤みなど異常が生じた場合は、ただちに使用を中止し、症状がひどい場合は皮膚科医を受診したい。

光やレーザーは「やけどを起こす」施術

 エステや医療機関での脱毛はどうか。エステの光脱毛は、毛の中にある黒いメラニン色素に反応する光を照射してダメージを与え、毛を生えにくくする。一方、医療機関のレーザー脱毛は、毛の発生や成長の元となる組織を破壊する。レーザーの方が光よりも痛みが強いが、医療機関で受けているので、何かあればすぐに治療ができる。いずれも自己処理によるトラブルを回避できるメリットがある。

 ただ、脱毛は皮膚の内部でやけどを起こす施術。国民生活センターが2017年、1000人にアンケートしたところ、4分の1が、脱毛後にやけどや痛み、ヒリヒリ感などが生じたと回答している。また、若い時は、毛が生え替わる周期も安定しておらず、レーザーが反応せず、再び生えてくる可能性もある。費用も高額だ。

 「こうした知識を踏まえた上で、子どもに声をかけてあげて」と矢上さん。「10代の心は繊細で、ちょっとしたことがいじめにつながることもある」とし、「親はまず、『むだ毛が嫌なんだよね』と気持ちを受け止めて、サポートしてあげてほしい」と話す。

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  • 石川 says:

    この記事を読んだとき、とても違和感がありました。それは、「毛は剃るべきもの」という前提にたってのアドバイスだったからです。近年では、そういった社会的に作られた価値観に疑問を呈する動きもあり、ヨーロッパでは毛を剃らないモデルや俳優がファッション誌やテレビなどのメディアにも登場してくるようになりました。

    もちろん毛が気になる人が脱毛をすることに異論はありませんが、そもそも、特に女性の毛に対して、社会から「毛はなくすもの」といった価値観を植え付けていることを、まず提示してほしかったです。子どもにはとくに、毛は汚いものではない、剃らなくてもなんら問題はない、そう伝えたうえで、脱毛などを希望する場合へのアドバイスを掲載するのがメディアとしての役割だと思います。

    女性として年中、街中で脱毛の広告を見ることにうんざりしていますし、毎回、脱毛していないと女性らしくない、と感じざるを得ない自分にも嫌な思いをしています。近年は、女性だけでなく男性や、子どもにまで脱毛の動きが広がっているのはとても驚いています。

    ぜひ今後はフェミニズム、ルッキズム、そしてそれに対する世界(と言っても欧米が進んでいますが)の動きを知った上で、情報発信をしてください。そうでないと、ますます若い世代の読者には支持されないメディアになってしまうと思います。そうなってほしくないからこうして意見を投稿しました。応援していますので、ぜひ今後の情報発信の参考としていただけますと幸いです。

    石川 女性 30代

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