和製「トムとジェリー」? 紙芝居を絵本に 相模原の保育士「先入観なくせば仲良く」

福浦未乃理 (2019年1月6日付 東京新聞朝刊)
 勤務先の保育所の子どもたちに読み聞かせようと保育士の男性が自作した紙芝居が「ストーリーが優れ、キャラクターも際立っている」と出版社の目に留まり、絵本になった。ネコとネズミの友情を描いた内容で、先入観をなくせば皆と仲良くできるという話。男性は「より多くの人に読んでもらいたい」と呼び掛けている。
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自作の紙芝居が基になった絵本を持つ近藤さん=横浜市西区で

幼児教育に関心 30歳でメーカーの人事部から転職

 作者は、相模原市中央区の認可保育所で働く近藤昌孝さん(47)。絵本「だって すきなんだもん(Good Friends)」は、ネコの「みーくん」と、友達のネズミの「チューチュー」が主人公。タヌキの「ぽんくん」から、ネコとネズミは仲が悪いはずなのに変だと言われ、気持ちが揺らぐ。しかし、カエルの「けろちゃん」におかしくないと指摘されて思い直すというストーリーだ。

 近藤さんはもともと、工作機械メーカーの人事部で社員教育を担当していた。社員にやる気を出させるヒントはないかと読んだ本に「幼少期にさまざまな体験をすると、大人になって本当に自分がやりたいことに気付いて実践できるようになる」という趣旨の記述があり、幼児教育に関心を持つようになった。

 30歳だった2002年、知り合いの保育所の経営者から「うちで事務員として働かないか」と誘いを受けた。新しいことをやりたいと考えていた時期でもあり、転職。10年からは免許を取得して保育士として勤務している。

「友達が増えればもっと世界広がる」

 紙芝居を作り始めたのは2006年。絵本の読み聞かせに夢中になる子どもの姿を見るのが好きで、「どうせなら自分が伝えたいことを伝えたい」と思い立ち、スケッチブックに絵を描いて披露すると好評だった。2016年からは、JICA横浜(横浜市西区)が月に1回開く読み聞かせ会に招かれている。紙芝居のストーリーを知った職員が、JICAが唱える、国籍や文化の違いを超えて互いに認め合う「多文化共生」の理念を端的に表しているとして参加を依頼。12月の会では、新作の絵本を読み上げた。

 これまでに制作した紙芝居は20作品。近藤さんは「クラスが違うだけで仲間にいれないとか、下手だから一緒にサッカーをやらないという子どもが保育所にいた。相手の一面だけにとらわれて仲良くしないのはもったいない。友達が増えればもっと世界が広がる」と語った。

 絵本は世界文化社刊。A4変判で32ページ、1500円(税別)。

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