保育施設の子どものコロナ感染増加、主な要因は「家庭内」だった 港区保健所の調査「施設では拡大傾向は確認されず」

宮本隆康 (2021年9月30日付 東京新聞朝刊)
写真

小さな子どもの感染状況などを説明するみなと保健所の動画

 港区みなと保健所(東京都)は、新型コロナの感染拡大に伴い保育施設で子どもの感染が増えたが、それらの主たる要因は家庭内感染で、保育施設で感染が拡大する傾向は確認されなかったとの調査結果を発表した。手洗いなど基礎的な対策が有効だったとしている。

4~8月に感染者が出た39施設を調査

 4~8月に、園児や職員に感染者が出た39の保育施設の事例を調べた。濃厚接触者は園児が12人、職員が19人で、PCR検査を受けた。そのほか接触の可能性がある「接触者」のうち、園児263人、職員137人もPCR検査を受けた。

 結果は、園児の感染者は濃厚接触者と接触者を合わせた全体のうち、3.3%だった。濃厚接触者全員が陰性。接触者9人が陽性だったが、うち2人は軽症、残り7人は無症状だった。

 職員の感染者は、全体の7.1%だった。濃厚接触者は5人、接触者は6人が陽性だった。

1人感染で休園しなくても対策強化を

 みなと保健所は、保育施設で感染がそれほど広がりを見せなかった理由について、手洗いや消毒、密の状態にしないなどの対策が有効なためとしている。小さな子ども同士では、長時間の会話になりにくいことも一因とみている。

 また担当者は「感染者が1人見つかった時点で休園しなくても、消毒や接触者の健康管理などを強化すれば、保育サービスの維持に役立つ」としている。

「保育施設での対応」「家庭内感染の防止策」などの動画公開

 港区みなと保健所が、保育施設で新型コロナの感染者が見つかった時の対応や、家庭内感染の防止策などを説明する動画を作った。保育所や園児の保護者ら向けに港区のホームページで公開している。

 動画は「共通編」「家庭編」「施設編」の3部構成で、長さは各13~23分。港区感染症専門アドバイザーの堀成美さんが資料を示して解説している。「共通編」では、子どもの感染状況や特徴を解説している。小さな子は無症状や、発熱が数日続く軽症の場合が多いが、周囲に感染させる可能性がある。

 「家庭編」は家庭内感染の防止策を取り上げた。父親や兄弟から小さな子どもが感染した例や、家庭内感染を防いだ例を紹介。家族と話す時のマスク着用などを呼びかけている。「施設編」は、職員が感染した時の保健所とのやり取りや自宅待機者の選び方、運営再開までの流れなどを説明している。

 港区ホームページの「新型コロナウイルス感染症特設ページ」から「保育所 動画」などと検索すると、動画を見ることができる。

元記事:東京新聞 TOKYO Web 2021年9月30日

0

なるほど!

0

グッときた

0

もやもや...

0

もっと
知りたい

あなたへのおすすめ

PageTopへ