夏から流行のインフルエンザ、ワクチン接種が大事です いつ受けるべき?〈森戸やすみのメディカル・トーク〉

(2023年11月7日付 東京新聞朝刊)
イラスト ワクチン接種を受ける子ども

イラスト・川端乙大

効果は半年くらい 重症化や合併症も防ぐ

 2020年冬から丸2年、インフルエンザの流行がなかったのですが、今年は復活しました。感染者の報告が増えるのは通常は12月ごろからなのに、今年は夏から増加しています。お子さんの園や学校が学級閉鎖になっている方もいるでしょう。受験や大事なイベントを予定していると、ワクチン接種を受けるべきか、いつ受けたらいいかと悩むのではないでしょうか。

 集団接種をしない前橋市と集団接種をした周辺地域を比較し、「罹患(りかん)率に差はない」とした1987年の「前橋レポート」を根拠に、「インフルエンザワクチンに予防効果がない」と言う人がいます。しかし、その後の調査では、6歳未満の発症予防効果は50~60%で、完全には感染を防げないものの、重症化と合併症の発生を予防する効果は証明されています。

 インフルエンザはとてもつらい病気です。今年は咽頭痛や胃腸症状のある子が多いです。かかってしまうと試験で力が出せないばかりか、受験できないこともあります。勉強にも支障が出ますから、ワクチン接種は大事です。

 13歳未満の子は2回、1~4週間空けて受けます。既にかかっていたとしても、ワクチンにはA型2種類、B型2種類の抗原が入っていますから、接種に意味がないということはありません。効果は半年くらい続くといわれています。

 新型コロナウイルス感染症は、症状ではインフルエンザと区別がつきません。どちらも出席停止になり、お子さんと周囲への影響が大きい感染症です。この2つのワクチン接種は同居する人も受けて、大事なイベントを控えたお子さんにうつさないようにしましょう。

森戸やすみ(もりと・やすみ)

 小児科専門医。1971年、東京都出身。一般小児科、新生児集中治療室(NICU)勤務などを経験。「子育てはだいたいで大丈夫」(内外出版社)、共著に「やさしい予防接種BOOK」(同)など、医療と育児をつなぐ著書多数。「祖父母手帳」(日本文芸社)も監修。子どもの心身の健康や、支える家族の問題について幅広く伝えます。

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